パリで躍動した33歳鈴木聡美 地元九州でV「年齢は関係ない部分見せられれば」ますます燃えさかる情熱 コーチがストップかけるほど【佐賀国民スポーツ大会・競泳】
◆国民スポーツ大会・競泳(15日・佐賀市SAGAアクア) 競技への情熱は衰えるどころかますます燃え上がっている。パリ五輪で自身3度目の五輪を経験し、今回故郷の福岡県から出場した鈴木聡美(ミキハウス)=遠賀町出身=は成人女子100メートル平泳ぎで優勝。中盤までは競り合っていたが終盤の伸びで後続を引き離した。 ■SNS騒然「合成…じゃないよね」橋本環奈が降臨【写真】 「最後の25メートルは福岡県の皆さんの応援を活力にして体にムチうって頑張りました。地元で雄姿を見せられてよかった」。スタンドには両親が応援に来てくれた。「今まで仕事で来られなかった父が来てくれて、楽しんでいる表情を見られたので親孝行できたかな」と娘の顔になった。 パリ五輪では平泳ぎ100メートルと200メートルに出場。200メートルは決勝進出を果たし4位とメダルまであと一歩だった。「まだまだやれたという自信がわいた。記録ももっと狙えるんじゃないかと。もっとレベルの高い泳ぎがしたいと意欲が湧きました」。帰国後は2、3日休んで練習を再開。日本学生選手権を狙う母校の大学生と練習していたが、コーチから「気持ちが切れたり、体にガタが来るからスピードを上げる練習はやめておけ」とストップをかけられるほど。「記録を狙いたいというモチベーションはあったんですけど、この先のことを考えてのことなので」とハードな練習はしなかった。 それでも記録は目標としていた1分6秒9を上回る1分6秒64をマーク。「自分では泳ぎがかみあってなかったので、6秒6も出たんだって。自分で自分の力に驚かされています」。秘めた可能性に驚いているのは鈴木自身だった。 多くの選手が10代から活躍する水泳界にあって33歳は大ベテランだが気力も体力も充実している。「区切りは大会ではなく、限界点だと思っている。この年齢になってもまだまだいける体だということに自分が一番驚かされているし、気持ちや力、環境が許される限りどんどん挑戦していきたい」。自身を脅かす若手の台頭も大歓迎。若手と切磋琢磨(せっさたくま)することもまた自分自身を伸ばしていく糧にしていくつもりだ。 目標は日本記録を塗り替えること。すでに50メートルの日本記録を持っているが、100メートル、200メートルの記録更新にも意欲を見せる。「年齢は関係ないと言う部分や、やりたいことにしっかり挑戦していけばいいんじゃないかと言うのを見せられれば」。限界点はまだ見えない。その笑顔は30代になってますます輝きを増している。(前田泰子)
西日本新聞社