電力会社の安易な乗り換えに潜むリスク。電気代が安くなるのはどんな人?契約プラン見直しのポイントを解説
2016年4月、電力小売業の全面自由化によって、一般家庭を含むすべてのユーザーが電力会社や料金メニューを自由に選べるようになった。 【画像】電気の料金体系には「規制料金」と「自由料金」という種類がある 以来、新たな企業が電力の販売に参入し、さまざまな料金プランが出てきている。電力会社を見直すことで、月々の電気代を減らすことができるかもしれない。「すでに電力会社を乗り換えた」という人もいるだろう。 ただし、節約アドバイザーの和田由貴さんは「電力会社の見直しで料金が安くなる場合もあるが、リスクもある」と話す。その理由について、詳しく聞いた。
「規制料金」と「自由料金」の違い
そもそも電気代の料金体系は、「規制料金」と「自由料金」という2種類に分類される。 ●規制料金 電力自由化以前から提供されている料金体系。燃料費の変動を価格に転嫁する「燃料費調整額」の上限が定められており、値上げには経済産業大臣の認可が必要。 ●自由料金 電力自由化以降にできた料金体系で、新しい料金プランのほとんどが該当する。「燃料費調整額」などの料金設定や認可などの規制はない。自由料金は電力市場と連動しているものもある。電力需要の少ない春や秋、朝・夕方などの時間帯は電気代が低く設定され、規制料金より安くなることがある。 「以前は自由料金と比べて規制料金のほうが低水準だったのですが、2023年6月の電気料金の改定によって規制料金が値上がりし、現在はほぼ同じ水準にあるといえます」 電気代が同水準で、自由料金のほうが安くなる可能性があるとなると選びたくなってしまうが、どのような点でリスクがあるのだろうか。
変動の原因は燃料の高騰
「問題は燃料費が高騰したときです。規制料金では『燃料費調整額』の上限が設けられているので、燃料費が急激に高騰したとしても値上がり幅には限界があります。しかし、自由料金は上限がないので、際限なく上がってしまう可能性があるのです」 2023年初頭、電気代が大幅に値上がりした際に「一般家庭のひと月の電気代が10万円を超えた」というニュースが報じられた。この背景には、自由料金があったという。 「自由料金を選択している家庭で、電気代が10万円を超えるといったことが起きていたのです。ロシアのウクライナ侵攻やコロナ禍の行動制限緩和による需要の伸びによって、燃料費の輸入価格が高騰したからだと考えられます」 当時と同じような状況になった場合、自由料金で契約していると電気代が跳ね上がる可能性があることを理解しよう。まずは自分の契約しているプランが「規制料金」なのか「自由料金」なのか、把握することが重要だ。