【選手権】初出場の東海大相模、明秀日立を振り切り国立切符を獲得
第103回全国高校サッカー選手権大会は4日に準々決勝を実施。Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで行なわれた明秀日立と東海大相模の一戦は、2-1で東海大相模が勝利した。 【フォトギャラリー】明秀日立 vs 東海大相模 有馬信二監督の就任14年目で初出場を果たした東海大相模の快進撃は止まらない。「2回戦、3回戦は個人的にもチーム的にも良いところが出せなかった中、今日の前半に関してもほとんど完璧なゲームができた」と主将のMF6長井隆之介(3年)が振り返る会心の出来で、国立進出を掴んだ。 序盤に主導権を握ったのは明秀日立。前半12分にはMF14尾上陸(3年)が左サイドでのタメからゴール前にパスを送り、MF8柴田健成(3年)が勢いよく左中間を抜け出し、シュートを放ったが、並走したDFがブロック。15分にはDF5菅野一葵(3年)のクサビをFW10竹花龍生(3年)がスルーで流し、柴田がフリーで飛び出したが、タイミングよく前に出たGk1松坂亮(3年)に阻まれた。 東海大相模は自陣まで持ち込まれながらもDF陣が落ち着いた守備対応を続け、失点を回避していたが、34分には竹花が上げた右CKから、DF4久保遼真(2年)にヘディングシュートを決められてしまう。追い掛ける展開を強いられた「先制されても、みんな焦っていなかったにも大きかった。失点後に具体的な指示はなかったのですが、自分たちで焦らず攻撃に攻撃できていた」と長井が振り返る通り、明秀日立に焦りの色は見られない。 「やっぱ強度が高かった。最初、先に取られてこれは苦しいなと思っていたのですが、慣れてボールを動かしたかった。慌てて速く行こうとしていたので、少し止まってでもボールを回せば、相手は来ることができなくなるんじゃないかと思っていた」。そう振り返るのは有馬監督で、相手のプレッシャーに慣れ始めた前半半ばからは長井とMF7高畑旺崇(3年)のダブルボランチがテンポよくボールを動かしながら、タイミングよくサイドチェンジを入れて攻撃のリズムを作り始める。前半終了間際の40分には右サイドでのパス交換から開いてボールを受けた長井がゴール前にクロス。タイミングよく入っていったFW10沖本陸(3年)が頭で合わせて、同点で試合を折り返した。 1点リードで前半を終える寸前だった明秀日立にとっては手痛い失点。「良い時間に点が取れたので前半を1-0で終わりたかったのが正直なところ。一瞬の隙を突かれたのは自分たちが甘かった」と振り返った萬場努監督はこう続ける。「相手に抜け出されてから、リトリートしたかったのですが、それが思ったよりも速くゴール前に持っていかれた印象はあった。奪いに行って奪えなかった時は堅く守るべきところが、相手のスピード感もあって不安定でした」。 後半は東海大相模のペースで試合が進み、後半5分には前向きで奪った左のDF5佐藤碧(3年)がそのまま縦に付けて、MF14小林正樹(3年)がクロス。ファーに流れたボールを繋いで、高畑がミドルシュートを放った。25分には左を連携で崩して小林正がクロス。クリアされたボールを拾った沖本のシュートは相手DFに阻まれたが、こぼれ球が高畑の足元に入ると冷静に決めて、勝ち越しに成功する。 試合終盤は相手に押し込まれる場面もあったが、しっかり走り切って明秀日立に2点目を与えず。有馬監督が「やっぱりトレーニングは嘘をつかないと思いました。守備においても攻撃においても足が止まらなかったし、逞しさを感じます」と称える出来栄えを披露した東海大相模が2-1で勝利した。 (文=森田将義 写真=矢島公彦)