所得税・住民税の定額減税「1人当たり4万円、約9000万人対象に」岸田首相会見11月2日(全文)※冒頭発言のみ
国民所得の伸びが物価上昇を上回る状態作りたい
例えば、子ども2人の子育て世帯では16万円の減税となります。このように、来年夏の段階で賃上げと所得減税を合わせることで、国民所得の伸びが物価上昇を上回る、そういった状態を確実に作りたいと思っています。そうすればデフレ脱却が見えてきます。 さて、「減税ではなく、給付金を支給すれば、もっと早い時期にお渡しできるのではないか」という意見があることは承知をしています。先ほど申し上げたように、給付金は第1段階の緊急的な生活支援に行うものです。その上で、今回の所得減税は第2段階の本格的な所得向上、そして好循環実現のために行うものです。幅広い国民の所得を下支えする観点からは、来年夏のボーナスの時点で賃上げと所得減税の双方の効果が給与明細に目に見えて反映される、そうした環境を作り出すことが必要だと考えています。 また、「防衛費や少子化のために今後、国民負担の増加が避けられないのであれば減税をすべきではない」というご指摘もあります。しかし、政策には順番というものがあり、そして順番が何よりも重要です。防衛費については、GDP比2%に強化された防衛力を9年度以降維持するため、その9年度に向けて財源を確保することとしております。そのためにも、まずは国民の暮らしを守るため、デフレ脱却を確実にし、成長経済を実現するための取り組みを先行させることが重要であり、今回の減税と同時に防衛の税制措置を実施することは考えておりません。
強い経済は全ての政策の基盤
少子化については、デフレ化の推進による効率化を含めた社会保障改革を進めることで、実質的な国民負担の増加にならないよう検討してまいります。時期についても、複数年にわたって社会保障改革を進める中で対応することとしており、今回の所得税減税と矛盾するものではありません。 言うまでもなく、強い経済は全ての政策の基盤です。所信表明演説で、「経済、経済、経済」と申し上げたのも、経済活性化なくして強い安全保障も、持続可能な社会保障も実現できない、そうした確信に基づいたものです。現下の最優先はデフレから脱却し、経済を成長経路に乗せるということです。まず経済活性化、その順番をご理解いただきたいと思います。 今まさにデフレ脱却ができるかどうかの瀬戸際だからこそ、あらゆる政策を総動員し、国民の可処分所得を拡大する。所得減税はそのために行うものであることを改めて強調したいと思います。国民の可処分所得を後押ししながら、我が国の稼ぐ力を強くしていくために全力を挙げます。しっかりと投資を後押しし、過去最大の投資が行われつつある現在の流れをさらに強めてまいります。これによって、賃上げの流れを確実なものとして、成長と賃金の好循環を回します。 賃上げ促進税制、最も重要な人への投資の拡大を図ります。これまで赤字で税制を使えなかった中小企業にも使いやすい形に強化してまいります。投資減税と戦略投資支援、熊本県では既に半導体の大型投資によって良質な雇用が生まれ、賃上げが広がっています。半導体、蓄電池、電気自動車などの戦略分野で、過去に例のない税制や補助制度を講じ、全国で次々と大型投資を呼び込んでまいります。中小企業の省エネ、省力化投資、小売、飲食、宿泊業からものづくりまで、人手不足に対応するメニューをカタログから選択し、現場の企業に使いやすい形で支援をいたします。 物流、交通のデジタル化、デジタル情報配信道等を整備し、自動運転トラックを活用した物流の実証を行います。2024年問題に直面する物流投資も後押ししてまいります。暮らしのGX、ご家庭も投資の担い手です。ヒートポンプ設置、断熱窓への改築、電気自動車の購入補助など、光熱費を削減し、快適な暮らしを応援します。 年収の壁についても、長年106万円、130万円の壁の存在が指摘されてきましたが、今般、就労時間を気にすることなく働く環境を整えることで、希望する所得を得られ、壁を実質的になくしていくよう具体的な支援を用意し、既に実行しております。