全日本実業団駅伝6区で区間33位 中国電力の岡本直己、最後の上州路はほろ苦く 優勝の夢は後輩に託す
ルーキーから18年連続で出場し、現役最後となった上州路はほろ苦かった。1日にあった全日本実業団対抗駅伝(群馬)。今月末で中国電力を退部する岡本直己は6区で区間33位に終わった。「思い描いた走りが全く出来なかった。メンバーに入ることが出来ても、本番では力がもう残っていないのかな」。チームは19位。入賞の可能性を遠ざけた自らの走りへの悔恨が募った。 毎年、風邪をひかず、故障もせずに調子を合わせてきた。入社3年目で5区区間賞を獲得。ただ、それ以上に憧れの先輩からかけてもらった言葉が財産となった。一緒に競り合った富士通の藤田敦史さん(現駒大監督)にレース後、「お前、速いな」と声をかけられた。「自分もそういう選手になれたというのが、区間賞よりもうれしかった」 岡本の入部は中国電力の過渡期と重なった。かつて上州路の王者に2度名を刻んだチームも、入社1年目の2位を最後に優勝争いから遠ざかる。「オリンピックや世界選手権に出場できなかったことと同じくらい、優勝を経験できなかったことが悔しい」。胸の内を吐露した。 そんな姿を佐藤敦之監督は同じチームの選手、指導者として見てきた。指揮官は「ここまで現役をやるとは想像していなかった。エース級の選手の故障や退部なども重なった中、何とかチームを支えたいというプライドがあったのだと思う」と功労者をおもんぱかる。 常勝チームとなるためには必要なものは―。岡本は断言した。「いかに激しいメンバー争いが出来るかが強いチーム。優勝というシーンを見させてほしい」。達成できなかった夢を後輩に託した。
中国新聞社