水やりの感覚をつかもう!ランのタイプ別に水やりのコツを紹介。失敗のほとんどは、水のやりすぎかも
冬は店頭に色とりどりのランの開花株が並び、各地でラン展も催されます。お気に入りのランを迎えたら、初めに居心地のよい置き場を見つけてあげましょう。ランを育てるときに大切なのは、「生育に適した置き場」と「水やり」。『趣味の園芸』2025年1月号のラン特集より「水やり」のポイントについて、抜粋してお届けします。 みんなのランの写真
しっかり乾いてからたっぷり、が基本
ランの水やりもほかの草花と同じように、植え込み材料が乾いたら鉢の底から水が流れ出るまでたっぷり、が基本です。 ただ、ランは過湿が苦手なものが多く、初心者の失敗のほとんどが、水をやりすぎて根を傷めてしまったことが原因です。 鉢の中は外からは見えないので、表面が乾いていても、中はまだ湿っていることがよくあります。鉢を持って重さを確かめたり、植え込み材料を指先で少し押して湿り具合を確認してみましょう。そろそろ水やりのタイミングと思ったら、初心者は1日待って翌日に水をやるくらいがちょうどよいです。 シンビジウムは多少の水のやりすぎにも耐えられますが、バルブのあるカトレアやデンドロビウムは特にしっかり乾かすことが大切です。
バルブってなあに?
ランの体はおおまかに根、茎、葉からなります。カトレアやデンドロビウムのように茎が何本もある姿になるランで、葉のついた茎が大きくふくらんだ部分をバルブ(偽鱗茎/ぎりんけい)と呼びます。 バルブは水分や養分の貯蔵タンクで、バルブのあるランはバルブのないランより水やりの回数を少なめにします。
タイプ別 水やりのコツ
●カトレア、デンドロビウム →バルブのあるランはしっかり乾かしてから 鉢を持ったり、指で植え込み材料を押したりして乾き具合を確認。特にカトレアはしっかり乾かす。水やりを忘れてもすぐには枯れないが、乾かしすぎにも注意。 ●シンビジウム →多少水をやりすぎても大丈夫 ランのなかでは水が好きで多少根が湿った状態が続いても枯れにくい。習慣的に水をやりたい人におすすめ。 ●ファレノプシス(コチョウラン)、パフィオペディラム →バルブのない(薄い)ランは乾かしすぎない ファレノプシスやパフィオペディラムは過湿も苦手だが乾かしすぎにも注意。株の中心の葉のつけ根に長時間水がたまると蒸れや病気の原因になる。 教えてくれた人/合田弘人(ごうだ・ひろと) ラン栽培家 神奈川県伊勢原市のラン専門店で趣味家向けに幅広い交配種、原種の栽培、販売、育種を手がける。家業のラン店に入る前は観光業に従事。豪華客船の乗組員として世界各地を回っていた。『趣味の園芸』本誌の「今月の管理・作業」コーナーでランの解説を担当。 『趣味の園芸』2025年1月号「あなたにぴったりのランを育てよう!」より