「3枚看板」の鳥栖工 29年目監督は手応え「戦力的に過去最高レベル」目標は3位【22日・全国高校駅伝男子】
22日に京都市で開催される全国高校駅伝競走大会に、鳥栖工(鳥栖市)が男子の佐賀県代表として出場する。高校生ランナーの大舞台「都大路」に15年連続49回目出場となる常連校。佐賀県大会で大会新記録をたたき出したチームは「過去最高レベル」の実力を備えており、選手たちは全国3位を目標に意気込んでいる。 ■五輪連覇王者「パリvs東京」金メダル比較に大反響【動画】 12月中旬、日が沈みかけた鳥栖工のグラウンド。隊列を組んだ選手たちが、白い息を吐きながら走り込んでいた。1周300メートルのコースを約1時間。ペースは一定で乱れない。「頑張っていきましょう~」。時折、選手の声が響いた。
「十分射程圏」指揮官の自信と裏付け
古川昌道監督(58)は、遠くから練習を見守っていた。OBとして鳥栖工駅伝部を率いて29年目となる今大会は、自身で18回目の出場となる。これまで9位4回、10位2回などと好成績を残してきたが、入賞の8位以内には届いていない。 「これまでで戦力的に過去最高レベル」。古川監督は、今年のチームの戦力と仕上がりに自信を深めている。自身初めての都大路での入賞にも「今のチームの実力なら、十分射程圏内だ」と期待をかける。 自信の裏付けとなっているのが、選手たちの高い意識だ。実は練習量が「他校と比べても多い方ではない」(古川監督)という鳥栖工。放課後の練習は1日2時間で、日曜日も大会などの予定がなければ休んでいる。「練習をしすぎるとけがのリスクもある。けがで選手のやる気をそいでしまうことだけは避けたい」 その一方で、「自律型人間」の育成を重視する。いったんレースが始まると、走るペース配分などを監督が指示するのは難しく、選手が自分で判断することになる。体づくりはもちろんだが、日ごろから考える力をつけることを優先する。 具体的には選手たちに目標設定を課している。目標のタイムなどを決め、それを達成するための練習や食事制限の内容なども自分たちで考えさせる。選手間でのミーティングにも、古川監督は参加せず、後から報告を受けているという。 そんな選手たちは毎朝、日誌を古川監督に提出する。内容は、練習を終えての感想や、目標達成までの進捗状況など。その日のうちに古川監督が目を通し、コメントをつけて返す。岩佐太陽(3年)は「大会で良い結果が出せなかった時には『切り替えよう』など励ましの言葉をくれる」と話す。
3枚看板をどうする…チームの戦略
部員38人の中で、古川監督が特に太鼓判を押すのは、スピード力のある石川蒼大主将(3年)と今村仁(2年)、持久力を備える岩佐の「3枚看板」だ。今大会では、上りに強い今村と岩佐がそれぞれ1区と3区、下りの4区を石川主将に任せて、試合を優位に進める戦略を描く。 選手の士気も高い。前回大会は右足首を捻挫して出場できなかったという石川主将は「チームの調子は良い。最大の目標は3位。結果を出して、監督や家族、地域の皆さんに恩返しをしたい」と力を込める。チームの過去最高成績は81年の2位。そこに、どれまで迫れるのか。22日午後0時半に号砲が鳴る。(才木希)
西日本新聞社