「会社もカネも騙し取られた」1億2000万円の詐欺被害に遭った51歳男性。契約書の改ざんも発覚
“知らない”相手とも付き合える若者たちの被害
「若者や中高年が騙されるケースが増えている」 こう話すのは詐欺に精通するジャーナリストの多田文明氏だ。背景には時代の変化があると考えられる。 「高齢者の詐欺被害抑制に向けた取り組みが進み、高齢者自身も警戒心が強くなった。見守り活動も進み、ATMでは高額な振り込みもできなくなりました。その一方で、若い世代は『高齢者が騙されるもの』と思い込み、“武装”できていない。電話で話すよりも、LINEなどのテキストのやり取りが当たり前になったせいで、顔も声も知らない相手とのやり取りに抵抗がない。そのため、近年の劇場型詐欺では警察官を名乗る人間が偽の逮捕状をLINEなどで送りつけるのがパターンになっています。画像の力で若い人も信じ込んでしまう」
被害に遭わないためにすべき対策は何か
被害を抑制するためには、どのような対策が必要か? 「まず、ネットでは簡単になりすましができることを理解すること。昨今話題の有名人を騙ったSNS型投資詐欺がその典型です。詐欺師はいくつものウソをつくので、見破るのはさほど難しくない。投資の勧誘を受けたら、投資先の会社名や連絡先が記載されているかを確認する必要がありますが、それをやる人が少ない。もう一つは、お金を要求されるようなことがあったら、第三者に相談すること。詐欺被害者の大半が、自分をハメた詐欺師に『どうしたらお金を取り返せるか?』などと相談をするのです……。そうではなくて友人や『188』の消費者ホットラインなどに相談してみましょう」 自分もカモと認識することが詐欺被害防止の第一歩だ。 【ジャーナリスト・多田文明氏】 20年以上、詐欺や悪徳商法について取材。その潜入先は100か所以上で、『ついていったらこうなった』(彩図社)など著書多数。旧統一教会の元信者の経験も持つ 取材・文/週刊SPA!編集部 図版/ウエイド ※8月27日発売の週刊SPA!特集「本当にあった[怖い詐欺]手口」より
日刊SPA!