弾性ストッキングを着用しています…足のかゆみの対処法は?【日本版「足病医」が足のトラブル解決】
【日本版「足病医」が足のトラブル解決】 「弾性ストッキングをはいているのですが、夏ごろから足がかゆくてたまりません……我慢してはき続けた方がいいのでしょうか」 下肢静脈瘤の松岡きっこさん 手術してスカートを履けるように こう訴えるのは、都内に住む60代前半の女性。3カ月前に下肢静脈瘤と診断されてから弾性ストッキングを着用していたところ、かぶれてしまったとのことでした。 下肢静脈瘤はふくらはぎのポンプ作用の低下や、血液を心臓に戻す静脈弁の働きの悪化で足の静脈が太くなり、足のむくみやだるさ、血管がコブ状に浮き上がる症状が現れる、中高年以降の女性に多い病気です。 症状を改善させるには、外側から圧迫圧をかけて下肢の静脈還流を促す弾性ストッキングを着用する必要があります。分厚い素材で作られているものもあり、汗をかきやすい夏から秋の時季は弾性ストッキングの下が蒸れやすく、皮膚がかぶれてかゆみが生じやすい。患者さんの中には、「かゆみに耐えられない」と、自己判断で着用を中断される方も少なくありません。それにより再発を招いたり、下肢静脈瘤が進行すると皮膚に穴が開く「うっ滞性潰瘍」を引き起こし、場合によっては手術が必要になります。 冒頭の女性は、蒸れを我慢しながらはき続けていたため、足全体にあせものようなかぶれが生じ、引っかき傷ができていました。 夏場は蒸れにくい素材でできた薄手の弾性ストッキングを選び、汗をかいたらそのままにせずはき替えてください。ベビーパウダーは足の余分な汗を吸収し、蒸れを防ぐ効果があります。着用前に足全体に塗っておくといいでしょう。または、かぶれない素材のストッキングもありますので専門医に相談してください。 それでもかゆみが治まらない場合の応急処置としておすすめなのが“冷却”です。実際、弾性ストッキングによる皮膚のかゆみを訴える患者さんは、寒い冬の時季になるとめっきり減る。凍らせた保冷剤で足を冷やしながら軽く足を叩くとかゆみが引いていきます。 ただ、この女性のようにかぶれて足に傷ができていたら、ステロイド軟膏や保湿剤での治療が必要になります。かかりつけ医に相談し、ご自身の足の状態に合った外用薬を処方してもらってください。 (田中里佳/順天堂医院足の疾患センター長)