平和が続いて体制にほころびが生じていた? 隆家の活躍で窮地を脱した「刀伊の入寇」であらわになった日本の危機【『光る君へ』満喫リポート】
事件は大宰府でおきている
A:今回の流れでうならされたのは、大宰府で激しい合戦が繰り広げられているという中で、都では公卿らが、なんとももどかしい議論を続けていたことですね。こういうのって1000年経ってもかわらないんですね。 I:戦国時代の「小田原評定」のようなものですよね。「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」という台詞が一世を風靡した『踊る大捜査線』というドラマがあったのを思い出しました。 A:平和な日々が長く続くといざ何か起きた時に瞬時に起動できないということでしょう。現代人が肝に銘じておきたい場面になりました。
源倫子の直球質問にまひろはどうこたえるのか?
I:さて、序盤から宇多天皇のひ孫という育ちの良さを発揮して、「倫子サロン」を主宰し、まひろ(演・吉高由里子)との交流を続けた源倫子(演・黒木華)ですが、残り2回という土壇場にきて、まひろに対して「私の夫とはいつからそういう関係なの?」ということを直球で聞いてきました。 A:多妻が許容されていた当時の貴族社会であっても、嫉妬、ねたみ、憂いがあったことは、『蜻蛉日記』などであらわになっています。財前直見さん演じた著者の「藤原道綱の母」(劇中では藤原寧子)も懐かしいですね。 I:太皇太后彰子(演・見上愛)の側に仕えるまひろは、彰子とともに土御門第に局を持つ身になったわけですが、道長はそれをいいことに頻繁に「止まり木」として、まひろのもとを訪ねていました。貴族育ちでそういう機微にはやや鈍感に見せかけて実はかなり鋭い倫子には、おそらく早々に見抜かれていたんでしょうね。 A:まあ、すべて完璧な人間などいませんからね。
●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。「藤原一族の陰謀史」などが収録された『ビジュアル版 逆説の日本史2 古代編 下』などを編集。古代史大河ドラマを渇望する立場から『光る君へ』に伴走する。 ●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2024年2月号の紫式部特集の取材・執筆も担当。お菓子の歴史にも詳しい。『光る君へ』の題字を手掛けている根本知さんの仮名文字教室に通っている。猫が好き。 構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり
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