彦根城、世界遺産へ進め…機運醸成へ看板表記変更や催し
国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産登録を目指す「彦根城」を巡り、登録に向けた啓発が熱を帯びている。10月にユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス)による前向きな事前評価の結果が公表されたのを受けたもので、16日からイベントが開催されるほか、滋賀県彦根市内にある啓発看板もより踏み込んだ表現への変更が検討されている。(清家俊生) 【写真】市役所に掲げられた懸垂幕(彦根市で)
県や市などは、彦根城は各地の大名が江戸幕府の安定を支えた「大名統治システム」を示すものだとして、2027年の世界遺産登録を目指して活動しており、文化庁は国内推薦候補の選定に先立ってイコモスの助言を受ける「事前評価制度」の活用を申請。10月、世界遺産としての評価基準を「満たす可能性はある」とする結果が明らかになった。 市は事前評価の結果を受けて、市役所に懸垂幕を掲示したほか、彦根城世界遺産登録推進室の職員らが出演する解説映像を製作し、動画投稿サイト「ユーチューブ」の市公式チャンネルにアップした。動画は約30分で、彦根城の価値や今後の方針を説明。投稿から約1か月で閲覧回数は1万回を超えており、反響の大きさもあり、「広報ひこね」12月号でも特集を予定している。
民間の後押しも加速しており、16日からは彦根城周辺で商工会議所や観光協会、青年会議所などが相次いで啓発イベントを実施。彦根商議所青年部は17日、中央商店街で来場者に彦根城への思いをメッセージカードに書き込んでもらう「彦根城 今までありがとう そして、これからもよろしく」を開く。カードは市役所に掲示する予定で、担当者は「これまで以上に街が盛り上がり、登録の一助になれば」と期待を寄せる。 市内では現在、事業所の前や道路脇など数十か所に「彦根城を世界遺産に」と書かれた看板が設置されているが、関係者は新たなキャッチフレーズとデザインを検討。「一歩前進!」といった言葉を取り入れる案も出ており、とりまとめをする彦根商議所は「市などと協議し、機運醸成を図れるようにしたい」とする。
同推進室は「登録に向けて、市民の応援や盛り上がりが励みになる。今後とも地域とともに取り組んでいきたい」としている。