引退する「ドクターイエロー」。座席数、ねぐら、後継車両…実はあまり知られていない7つの秘密
◆5. 先代ドクターイエローは保存中
0系新幹線をベースに製造されたのが922形のT2編成とT3編成。このうちT3編成は2005年に廃車になった後、名古屋市内にある「リニア・鉄道館」で先頭車両が保存展示されている。T4編成も引退後は「リニア・鉄道館」にて保存されるとの新聞報道がある。
◆6. 東北新幹線などでドクターイエローに相当する車両は?
東北・上越・北陸新幹線などのJR東日本の新幹線各線にも検査車両がある。国鉄時代からしばらくは、似たような別の「ドクターイエロー」が使われていたが、現在は、East i(イーストアイ)と呼ばれる白を基調とした専用の車両が働いている。線路がつながっている北海道新幹線や北陸新幹線のJR西日本区間でも走行する。 ドクターイエローのような大衆的な人気がないのは、黄色い車両みたいにインパクトに欠けるからであろうか?
◆7. 見ると幸せになれる?
ほぼ10日に1回、東京駅と博多駅の間を2日かけて1往復するドクターイエロー。運行日時や列車ダイヤは公表されていないため、会えたらラッキー、会えたら幸せになるという都市伝説がある。それだけ人気車両であり、鉄道ファンでなくとも、駅で見かけるとスマートフォンなどを取り出し、撮影する人は数多い。 「黄色い鉄道車両=幸せをもたらす車両」という伝説は各路線に根強く、京急のイエローハッピートレイン、東急世田谷線の黄色い電車も1編成しかなくドクターイエロー並みの人気車両だ。 ドクターイエローの引退にともない、JR東海ではさまざまなイベントを計画している。引退は残念だが、なかなかお目にかかれない車両を間近に見ることができるチャンスがあるのはうれしいことだ。詳細発表を楽しみに待ちたい。 取材協力=JR東海この記事の筆者:野田隆 名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。
野田 隆