できる時できる協力を PTA参加義務撤廃 福島県郡山市の日和田小 応援の輪地域に広がる
人口減少や少子化が進む中、保護者と学校の関わり方が多様化している。福島県郡山市の日和田小PTAは負担が大きいとの保護者の声を受けて今年度、前例踏襲で続けてきた事業を8割削減し、義務的な参加形式を撤廃した。できる時にできる活動をする独自の「学校応援団方式」を導入し、学校を自主的に支援する形に変えた。9日には創立150周年記念事業を有志による実行委員会が開催。児童や保護者だけでなく大勢の住民が駆け付け盛り上がった。地域全体で子どもを育む輪が広がっている。 日和田小は10月末現在、児童465人が在籍し、全359世帯がPTAに加入している。コロナ禍を経て昨年6月に開いたPTAの委員会の出席者は約60人のうち2人だけ。保護者からは「心身ともに余裕がない」「慣れない作業を一定回数やらなければならない」など、負担の大きさを訴える声が相次いだ。 組織の在り方に疑問を抱いた当時のPTA役員が改革に乗り出した。球技大会の運営などを担う常任委員会の全員加入を見直し、五つから三つに統合。学年ごとの委員会は廃止した。図書整理やミシン整備などは取りやめた。強制ではなく、保護者や地域住民が参加したい時に教育活動に協力する「学校応援団」に軸足を移した。
成果は表れ始めている。地域の商店などを巡る2年生の校外活動「まち探検」には昨年、18人の保護者が協力し17班を編成した。今年は前年と比べ約1・6倍の29人が見守り役に手を挙げ、23班に分かれて幅広い活動が実現した。PTA活動全体の負担感が減り、保護者が自主的に参加しやすくなったと学校は見ている。 9日の創立150周年記念事業「ひなた祭り」は子どもたちの思い出に残るようにと企画され、趣旨に賛同した保護者ら83人が実行委員を務めた。実行委員の呼びかけに共感した住民や地元企業がさらに周囲に声をかけ、約90の企業などの協賛が実現した。ブレークダンスショーやじゃんけん大会などを繰り広げ、児童の笑顔があふれた。 実行委員長を務めた前PTA会長の棚木敏彦さん(49)は「『子どものために行動したい』という思いが原動力になった」と手応えを語る。ただ、改革は始まったばかり。しっかり継続し定着させることが課題だ。PTAは問題があればその都度、保護者や教員らと対話を重ね、運営の適切な在り方を探っていく考えだ。
■県PTA連がアンケート 「活動のスリム化」最多 県PTA連合会は2023(令和5)年、会員を対象にしたアンケートで研修を望む内容を尋ねた。組織運営に関しては「活動の焦点化・スリム化」が35・9%で最も多く、「地域との連携」が18・9%、「会員の参加意欲向上」が13・9%で続いた。 横山貴英事務局長は少子化による会員減や共働き家庭の増加、生活様式の多様化などを背景として、組織運営に悩みを抱えるPTAは少なくないと指摘する。時代の変化や地域の実情に応じた子ども本位の活動が求められており、横山事務局長は「全国のさまざまな知見を共有していきたい」と話している。