鶴ケ城の堀守って 堆積物たまり環境悪化 官民一体で対応策 福島県会津若松市に1億円 弓田さん寄付
福島県会津若松市の鶴ケ城の堀で堆積物がたまって陸地化するなど環境悪化が深刻化する中、課題解消を目指す動きが出ている。6日、堆積物の掘削などに役立ててほしいと市民から市に1億円が寄せられた。東邦銀行の寄付型私募債を通し、環境保全に取り組むNPO法人会津鶴ケ城を守る会に対する企業の支援も始まった。市と守る会などは今後、意見交換の場を設け、官民一体で対応策を探る。 市内の弓田建設社長の弓田八平さんが同日、室井照平市長に寄付金の目録を手渡した。会津鶴ケ城を守る会理事長を務める弓田さんは「城は若松の財産。計画を立てて(掘削などを)進めてほしい。守る会もバックアップし、市や市民と一体となって城をいい形で後世に残せるよう努めたい」とし、意見交換の場を提案。室井市長は「しっかりと受け止め、頑張りたい」と応じた。意見交換の場は市と守る会、会津若松観光ビューロー、会津若松青年会議所などで構成する予定。
3月には会津若松商工会議所からも市に掘削工事計画の要望が出ており、市幹部は「時間はかかるが、前向きに考えていく」と話した。 鶴ケ城を巡っては堀の一部で陸地化が確認され、掘削費は十数億円との見方がある。計画作りには財源確保、文化庁との協議などの課題がある。守る会は機運醸成に努め、東邦銀行の寄付型私募債を通じて現在7社が支援に乗り出している。 ■水質維持に工夫 県内城跡 堀がある県内の城跡では管理者が堀の水質維持などに工夫を凝らしている。 相馬市の中村城跡周辺にある堀は市が管理している。泥の表層20~40センチを除去した他、井戸から新鮮な水を流し込み、きれいな環境を保っている。堀の水に浮くオオカナダモやヒシは毎年夏ごろ、沈んで腐食する前に取り除いている。 棚倉町の棚倉城跡の堀には常に水が流れ込んでいる。管理する町の担当者は「夏場は多少臭いがするが、水が循環しているため臭いの発生も抑えられている」と話す。