SNSで話題「デイサービスの高齢者が元気になる」自作ゲームの仕掛け人「歩行器なしで歩けてる!」
ゲームは1回使ったらすぐ壊してしまいます。利用者さんに次のゲームを楽しんでもらいたいし、材料を使い回し、新しいゲームを作る場合もあるからです。 利用者さんがゲームをしている姿を見て、「もう少しアレンジして別のゲームにしてもいいな」と、思いつく場合も少なくありません。
■ゲームに夢中になって「感情まで豊かになる」 ── 利用者さんからはどんな反応がありますか? 鷲巣さん:リハビリの時間は眠そうにしている方も、ゲームレクの時間が近づくと皆さんソワソワし出すんです。ゲーム内容は毎回違うので、利用者さん同士も「今日はどんなゲームかな?」と、話が弾んでいます。
「私はゲームレクのためにここに来てるんだよ」と言われることもあって、すごく嬉しいです。一方で、「リハビリももうちょっと頑張ってほしいな」と思うこともあります(笑)。 利用者さんのなかには夢中になりすぎて、ゲーム中に「いまのはルール違反じゃないの?」など、怒ってしまう方も。そういう場合は、臨機応変にルールやゲームの内容を変えることもあります。 ── 皆さん、ゲームレクによって感情豊かになる場面もあるのですね。
鷲巣さん:ゲームレクは喜怒哀楽を引き出すきっかけにもなっていると思います。じつは、僕の作るゲームはわりと難易度が高いんです。失敗する人もいますが、「次は頑張ろう」と仲間同士で励まし合う様子が見られます。それがいいと思っています。 日常生活のなかだと、失敗して悔しくなったり、成功したときにみんなで喜びながらハイタッチしたりすることって、あまりないですよね。ゲームレクに楽しんで取り組むことで、利用者さんの豊かな感情を引き出し、運動能力を上げるきっかけになると思うと、やりがいもあって嬉しいです。
PROFILE 鷲巣 豪さん わしずごう。理学療法士、ヨガインストラクター。介護施設で理学療法士として勤務。SNSに配信した、高齢者向けゲーム系レクリエーションは800種類以上。大きな反響を呼ぶ。 取材・文/齋田多恵 写真提供/鷲巣 豪
齋田 多恵