奈良工業高専が2連覇 頚椎損傷の野田主将「ものすごく熱い試合をしてくれた」/全国高専大会
第55回全国高等専門学校(高専)ラグビー大会の決勝が9日、神戸ユニバー記念競技場で行われ、前回王者の奈良工業高専(近畿)が史上最多の15度の優勝を誇る仙台高専・名取キャンパス(北海道・東北第1)に22-19で競り勝ち、2大会連続7度目の優勝を決めた。 両校は昨年も決勝で対戦しており、奈良工業高専が45-3で圧勝している。 この日も奈良工業高専が前半14分、FWが敵陣ゴール前のラインアウトからのモールを力強く押し込み、5点を先制。だが、今年は「1年間、強化してきた」(仙台高専名取・柴田尚都監督)という相手のフィジカルの強さとディフェンスに苦しめられて突き放すことができず、前半は10-5。後半は12分に不用意なパスをインターセプトされてトライを許し、一時は10-12と逆転されたが、17、21分に連続トライを挙げて再び勝ち越し、このリードを粘り強く守り抜いた。 今大会の奈良工業高専は初戦となった2回戦の佐世保工業高専(九州沖縄第2)戦を73-0、準決勝の久留米工業高専(同第1)戦も77-0と圧勝で勝ち上がっており、ゲーム主将を務めたCTB山本莉久(5年)は「フィジカルでガツガツこられたのは、なかなかない体験だったが、チームの中から『あきらめるな』という声が出ていて頑張ることができた」と誇らしげな表情。森弘暢監督は「この子ら(部員たち)のスローガンが『一点突破』。その背景にある熱い気持ちを前面に出すチーム作りをしてきた。毎日、熱量の高い練習をしてきた」と選手たちの頑張りに目を細めた。 また、この日は別にも絶対に負けられない理由もあった。 昨年11月の神戸市立工業高専との近畿代表決定戦の後半、頚椎損傷の重傷を負い、現在も大阪府内の病院で入院加療を続けるPR野田和成主将(5年)が一時外出の許可を得て今大会初めて試合に駆け付けた。 「帰ってきたと思った。力になった」と山本ゲーム主将。野田主将は「チームスローガンの『一点突破』を体現するようなフィジカルバトルの、ものすごい熱い試合をしてくれた。この舞台に立つことができなかったのは悔しいが、うれしい気持ちでいっぱいです」と感慨に浸った。 高専とは中学卒業後、工業や商船系の技術者、研究者を育成する5年制の教育機関で、15歳の1年生から20歳の5年生が在籍。今大会は全国6地区と開催県の代表10校が参加して行われた。