「まるで脅しのようなやり方だ!」…確認作業では隣のマンションと取り間違え「世田谷・違法高級マンション」でこだまする住民らの「悲鳴」
「選択肢が残されていない」
「東急不動産は買い取りをあくまでも提案と言っていますが、実際は組合との話し合いには一切応じていません。それでいて住民個々の仮住まい先には売買を急かす手紙を何度も送りつけてくる。うちの妻はその手紙を見るたびに気が滅入ってしまい、ノイローゼ状態になっています。一部の反発した住民は『だったらあなたたちには売らず、フロレスタに戻ります』と伝えると今度、東急は『戻らないでください』と言う。結局、こちらには家を売るしか選択肢が残されていないんです」 さらに東急は「今年の12月20日までに現在の買い取り内容に応じない場合は提案内容を変更する可能性がある」と住民らに説明している。 「期限を設けて、内容を変えるなんてまるで脅しのようなやり方ですよ。現在、30戸以上が買い取りに応じていると報道にもありましたが、合意した住民のなかには『もう東急の対応に心が折れてしまった』『これ以上、東急と関わりたくないし、大事な時間を取られたくない』と組合にこぼしています。みんながみんな喜んで売っているわけではなく、なくなく自宅を手放している人たちもいるんです。 住民たちにはすでに近所の学校に通っているお子さんがいる家庭もあれば、終の棲家のために購入した2人合わせて180歳に迫るという老夫婦もいます。組合としては従来の約束通り、個数が少なくとも建て直しを行ったうえで住民と買い取り交渉を行うべきだと今後も主張していきます」(前出・組合関係者)
「隣のマンションと間違えました」
不可解なのは前編で触れた構造確認だ。2005年の姉歯事件を受け、翌年、組合側は東急不動産に「マンションの建築構造上、問題はないのか」という問い合わせを行っている。その際、東急不動産から管理組合宛て送られた書面には「構造の安全性につきましては国土交通省が現在確認検査機関に求めているチェック項目に準じて行いました。(中略)構造計算と構造図との断面諸元の照合、構造詳細図の確認を行いました」と記されていた。 つまりフロレスタについては確認したが、構造の問題はなかったと明言していたはずだった。しかし、蓋を開ければ住民の想定以上となる施工不良の数々が発見されていった。その理由を組合関係者が明かす。 「もちろん東急不動産側には『あの時の確認では問題はないと言っていたじゃないですか』と尋ねています。向こうの返答は『隣のマンションと間違えていました』というもの。隣は5階建てでフロレスタは8階建てです。どうやったら間違えるのか。構造の確認で階が違うものを見ても気が付かないなんてあり得ないですし、仮に事実だとすれば、そんなずさんな確認作業を行っていることの証拠になります」 さらに住民の一人はこうも訴える。 「この問題はフロレスタだけではなく東急の企業体質が大きく影響し、起きたことだと思っています。東急の手掛けるドエル・アルスシリーズは全国にも展開しており、姉歯事件同様、他のマンションでも同様の施工不良が起きていないとは断言できない。特に耐震性については人命に関わる大事な問題です。他の東急の物件に住む住民や組合自らの早急な点検が必要だと感じます」 昨年12月11月には管理組合と弁護士らが会見を開催。これまでの経緯を説明したうえでフロレスタの構造問題、そして東急不動産の対応について怒りを滲ませた。 果たして東急不動産は住民たちの訴えをどう受け止めるのか。昨年12月24日、同社に連絡を入れると以下の回答があった。