モデルの岡田章吾が手がけるワークウエア「KEIMEN(カイメン)」に見る「畑オタク」の世界
「それともうひとつ、雷が落ちたときは空気中にプラズマが走っているらしく、それが稲に当たると大きく育つというお話を聞き、『PLASMA T-shirts(プラズマ Tシャツ)』も作りました」
「さらに民俗写真家『芳賀 日出男(はが ひでお)』さんとのコラボレーションアイテムがあります。『農家の手』という有名な写真を使わせてもらい、『日本の民俗 ~暮らしと生業~ 芳賀日出夫 著(角川ソフィア文庫)』という本とセットで販売しています。 角川ソフィア文庫からは芳賀さんの本がたくさん出ていまして、その中でも芳賀さんの半生がわかるような作品を選びました」
「GREENTHUMB BY KEIMEN(グリーンサム バイ カイメン)」という本作り
KEIMENはアパレルの他に『GREENTHUMB BY KEIMEN(グリーンサム バイ カイメン)』という本作りも行っている。 農について岡田さんが気になったことを取材したり、深掘りしたりすることで、雑誌のようで、専門書のようで、フリーペーパーやZINEとも違う独特な内容になっている。この本に関しても伺っていこう。
「この『GREENTHUMB BY KEIMEN』はいままでに5冊発行されています。畑をやっていて僕が気になったことを毎回テーマを決めて調べたり、取材を行ったりして形にし、1冊1,000円で販売しています。 1グリーンサム バイ カイメン 2土の声を聴け 3ボディー・アドベンチャー 4POTATO ISSUE 5雷 内容は、たとえばISSUE3では『ボディー・アドベンチャー』と銘打ち、農により身体、脳に及ぼす影響を調べたり、ISSUE4には作家の『トルーマン・カポーティー』氏がポテトの美味しい食べ方の本を書いていたというお話だったり、ラングランスリーブとポテトの関係性の話が掲載されています。 少しだけ内容をお話しさせてもらうと、『クリミア戦争のときにラグラン男爵という人物がいて、負傷した兵士に着せる服がないということになったときに、食料として持ってきたじゃがいもを入れる麻袋を切って繋ぎ合わせて着せたというのが、ラグランスリーブの発祥』という説があったといった話が載っています。 そして最新号は『雷』をテーマにしていまして、先ほどの窒素固定TシャツやプラズマTシャツのお話しのことや、編集者の『松岡 正剛(まつおか せいごう)』さんにもご登場いただいています。 いままでは半年に1度発行していたのですが、このISSUE5から年に1度の発行というペースになりました。アパレルも大切ですが、この『GREENTHUMB BY KEIMEN』も大切にしている活動のひとつです」
東京での経営者としての仕事やモデル業に加え、道志村での農作業、ひゃくしょう会というコミュニティにも参加し、畑からインスパイアを受けたものをKEIMENの服に落とし込んでいる。さらに本として残しておきたい農のことは『GREENTHUMB BY KEIMEN』に掲載するという、他では真似のできないようなことを高いバイタリティでこなしている。 KEIMENの名のもとに、さまざまな人物が岡田さんのもとに集まり、そしてその人たちがKEIMENの魅力に引き込まれていくような感覚を覚えた。岡田さんそしてKEIMENの今後の展開にも注目し続けていきたい。