モデルの岡田章吾が手がけるワークウエア「KEIMEN(カイメン)」に見る「畑オタク」の世界
「最初はオーバーオールを作りました。膝が痛くならないよう、膝の部分の生地を3重に補強していたり、可動域を大きくするためのシルエットになっている仕様です。
あとは長靴の中に裾をしまえるようにボタンで絞れるようなギミックがついています」
「その他、袖をまくっても落ちづらいようにリブを長く作り、腕の可動域を妨げないように広めのラグランスリーブに仕上げたロングリーブTシャツや、サーマルTシャツなど、ファーストコレクションはその後のKEIMENのルーツとなったアイテムが詰まった内容でした。 小物も人気でいまでも定番的に作り続けています。ロゴと滑り止めがついたカラー軍手、農作業でよく汚れる部分に黒を使いで2トーンに仕上げた靴下や、首の日焼け対策仕様のハットなども、KEIMENでは重要なアイテムとなっています」
畑に関する思いと知識が詰まったTシャツたち
こうして農にまつわるアイテムを見てきたが、KEIMENは商品リリースのタイミングが普通のアパレルブランドとは少し異なっているようだ。その辺りのお話を新作アイテムの紹介を交えながら聞いていこう。 「アパレルのコレクションといえば、春夏と秋冬の年2回、アイテムを発表するのが基本だと思うのですが、KEIMENは畑の作業が比較的落ち着く冬から春のはじめぐらいの時期、年1回の展示会のみでいまは展開しています。いろいろと試行錯誤していまの形に辿り着きました。 一般的に9月は春夏の展示会シーズンだと思うのですが、9月は畑も忙しいので、すべてに集中できなくなってしまうなと感じてこのペースになりました。
今年のアイテムを紹介させていただきたいのですが、農家の間で“雷の多い年は豊作”という言い伝えのようなものがあります。その科学的なメカニズムを九州大学の林教授に聞いたところ、雷の放電によって空気中の窒素分が大地に入り窒素固定され、稲がその窒素をおかずにしてよく育つということで、それを図解した『NF T-shirts(Nitrogen fixation窒素固定Tシャツ)』を作りました」