スバル、トヨタ、マツダがエンジン開発継続を共同宣言。独自の技術で目指す脱炭素
全方位型のパワートレーン戦略でこそ、未来が拓ける
2024年5月28日、SUBARU(スバル)とトヨタ自動車、マツダの3社は電動化時代の新たなエンジン開発を「三社三様」で行っていくことを共同で宣言。合成燃料やバイオ燃料、水素など、多様なカーボンニュートラル燃料に対応することにより、内燃機関でカーボンニュートラルの実現を目指すという。 【写真】3社が開発するエンジンを詳しく見る 自動車における2050年カーボンニュートラル達成で最も重要となるエネルギー源は電気もしくは水素ではないかと言われているが、ゴールに達するまでの2030年や2040年の途中段階では合成燃料やバイオ燃料の採用、プラグインやフルハイブリッドシステムの進化などさまざまな可能性が検討されている段階である。 また、電動化や次世代燃料の普及度合いは、その国の経済状況や発電環境、政策や国民の思考などによっても異なり、カーボンニュートラル実現という目的のためにクルマの次世代化を一気に推進することはビジネスの観点から見ても難しい。 そうした中、最近よく聞くようになった言葉が「マルチパスウェイ」だ。 例えば石炭による発電が主力の地域でEV化を推進しても、CO2排出量の削減効果は薄くなってしまう。また、水素の原料として注目を浴びているアンモニアを多く生産している国であれば、燃料電池車を導入することの意義も大きくなるだろう。 つまり地域特性や経済状況に合わせたパワートレーン供給が必要だという考えから、自動車メーカーはガソリン(合成燃料)から燃料電池、EVまでさまざまなパワートレーン開発を続け、市場に合わせてラインナップしていくという、まさに全方位型のパワートレーン戦略といえる。
スバル、トヨタ、マツダによる三者三様の路線
これは自動車メーカーにとって莫大な開発費がかかる苦しい戦略であることは目に見えているが、今回、トヨタ自動車と資本関係にあるスバル、そしてマツダはマルチパスウェイでカーボンニュートラルの実現可能性を広げていくことを合同で表明した。 とくにゴールへ向かう途中段階において、駆動用/発電用いずれの用途においてもエンジンが担うCO2削減のための役割は大きく、モーターやバッテリーとの組み合わせで進化させることにより、まだまだCO2を削減できるとしている。 興味深いのはエンジン進化が三者三様だということ。知ってのとおりだが、スバルは水平対向エンジンを、トヨタは直列エンジンを、マツダはロータリーエンジンをそれぞれに独自進化させつつ、電動ユニットと組み合わせることを前提に、エンジンとモーターがそれぞれの得意領域で最適に機能することを目指すとしている。 こうした取り組みはなにもカーボンニュートラル達成のためだけではなく、日本の全就業人口の約1割/約550万人とも言われている自動車産業を支えるサプライチェーンの未来を見据えた戦略でもあり、2010年代からモータースポーツを通じて独自の研究開発が進められてきた分野でもある。e-fuel(合成燃料)やバイオ燃料、液体水素など多様な燃料に対応、供給網を構築することもマルチパスウェイの要素のひとつだ。