【映画『きみの色』】山田尚子監督&寿美菜子がお互いの “色” を語る
「寿さんは太陽のような方なのでひまわりの色のイメージ」(山田尚子監督)
◆「寿さんは太陽のような方なのでひまわりの色のイメージ」(山田尚子監督)◆ ――主人公であるトツ子は人の “色” が見えるという設定ですが、お二人はお互いの色が何色だと思いますか? 山田 やっぱり元々の作品の繋がりで、ピンクって言いたくなる。紬ちゃん(『けいおん!』琴吹紬)のイメージカラーがピンクだから。でもそれは違うか(笑)。やっぱり寿さんが持ってらっしゃる雰囲気って夏のイメージで本当に太陽みたいな方なので、爽やかなビタミンカラーっていうか、ひまわりの色。黄色というか、しっかり太陽を浴びたオレンジ色というか。そういうイメージがあります。 寿 嬉しい! 私は2色どちらかで悩んでいて。先日お会いしたとき緑の服をお召しになっていたからかもしれないんですが、緑のイメージが最近はあるんですよ。アフレコでお会いするときって、どうしても「決めるぞ」って気合が入ってしまう私に、監督が「大丈夫だよ」ってしてくれるところもあって癒されますし。でも、監督の作品の主人公たちとご本人とは、いつも何かリンクする部分があるなと私は思っているんです。『けいおん!』のときでも、唯ちゃん(平沢唯)と監督って私の中では重なっていて。監督は唯ちゃんを「ヒーロー」だっておっしゃっていたんですけれど、イメージカラーは赤色なので、私の中では監督にも赤色のイメージがありました。だからなのか、監督と一緒にプールに行った夢を見たことがあるんですけど、そのときは赤い水着を着ていらっしゃって。 山田 真っ赤なビキニで。 寿 そう、真っ赤なビキニを着てウォータースライダーを降りてくるっていう監督を夢で見たんです(笑)。だから赤と緑。 ――それでは、自分の色が見えるとしたら何色だと思いますか? 寿 自分のイメージカラーとしては紫なので、皆さんライブなどでは紫色のライトを振ってくださるんです。トツ子と同じように、ちょっと色が見えるみたいな感覚を持っている友達からは、オレンジか緑を行ったり来たりしているように見えるって言われたりもして。ちょうどスミカがオレンジだったから、そのときはすごく感動しました。なのでオレンジ系なのかなと。 山田 一致ですね。私もオレンジだと思っているので。私自身は、こういった質問にはいつも答えられなくて、本当にごめんなさいっていう感じなんですが、自分の世界に自分がいないのでわからないんです。自分がどんな形をしてどんな空気を放っているのかっていうのが想像つかないので。無理くり言うと深い紫でしょうか(笑)。でもやっぱりわからないです。 ――最後に『きみの色』をどういった方に観てほしいか、また、こういうところを観てほしいというメッセージをお願いします。 寿 「好きを好きでいい」って肯定してくれる作品なので、自分は「これでいいのかな」って思っている方に観てほしいですね。当然ですけど自分と他人とは感覚って違うじゃないですか。みんな十人十色ある中で、自分の感覚が何か大多数の人とはちょっと違うなって後ろめたくなったりする人もいるかもしれないですけど、それでもいいんだよって言ってくれるのがこの作品だと思います。優しく背中を押してもらって外の世界に飛び出したくなるような、そんな感覚になってもらえるんじゃないかなと思いますので、ぜひ劇場でお楽しみください。 山田 この作品を作るときにずっと強く思っていたのは、人ってやっぱり他人が気になったり、自分を何か形にはめないといけないっていう不安があったり、「私はこれじゃない」って自分のことを嫌いになったりすることがあると思うんです。見た目や性格でカテゴライズされることも多いですし。そういったところに少し不安を感じていたり、当てはまらなかったらどうしようと思っている方たちに、リラックスして観ていただけるといいなと思います。 ――ありがとうございました! ●プロフィール 山田尚子/2009年テレビアニメ『けいおん!』で監督デビュー。数々の社会現象を巻き起こす大ヒットを記録し、2011 年『映画けいおん!』にて長編映画初監督を務める。『たまこまーけっと』『映画 聲の形』などの話題作で躍進を続け、2022年TVシリーズ『平家物語』、2024年リリース予定のショートフィルム『Garden of Remembrance』を監督。完全オリジナル劇場長篇最新作『きみの色』では、第26回上海国際映画祭金爵賞アニメーション最優秀作品賞を受賞。何気ない日常描写を瑞々しく描く映像センスと、繊細な映像演出で、現在のアニメーション界で最も高く評価されている監督のひとり。 寿美菜子/『きみの色』では主人公トツ子のルームメイトである “森の三姉妹” のひとり、友達思いのギャルでモノマネが上手い八鹿スミカを演じる。『けいおん!』の琴吹紬役や、『響け!ユーフォニアム』(2015年)の田中あすか役など、山田尚子監督作品とは縁が深い。声優としては多数の話題作に出演する一方、2009年に同じミュージックレイン所属の高垣彩陽、戸松遥、豊崎愛生とともに結成した声優ユニット「スフィア」のほか、ソロアーティストとしても精力的に音楽活動を行っている。2020年から1年半のイギリス留学を経験し、帰国後の2023年7月には結婚を発表するなど、公私ともに充実する中で、より幅を広げた今後の活動に期待が集まる。 (C) 2024「きみの色」製作委員会
小田 サトシ