特殊詐欺「来年も増え続ける」2024年の被害額は1059億円超…弁護士が指摘する“注意すべき新手口”の兆候とは
被害回避のために
一方で、連日の報道で、世の中にある程度の警戒心も浸透した。それでもだまされる人が後を絶たないなか、特殊詐欺の被害に遭わないためにどんなことに注意していればいいのか。 「これは今年だけに言えることではないですが、詐欺師は手を替え品を変え、詐欺商材もどんどん変えて世の中に訴求します。時代が動いていく昨今、警戒心を持ち続ける必要があることは言うまでもありませんが、リアルにこだわるという視点が重要かもしれません。 全てがネットで完結できてしまう世の中にあって、自身の大事な財産を変動させる、簡単にいえば大金を払うシチュエーションの場合は必ずリアルに『会う』ことがまず重要かと思います。マルチや地面師等、リアルでも危険なものはありますが、全てを対処しようとしても対処しきれないので、まずはリアルに着目してみるというのはいいかもしれません」 誰にも会わずに大金を動かすことも容易になっているネット社会。だからこそ、特に金額が大きければ、そこに強い警戒心を持って、念のため電話で連絡してみる、会ってみるなど、当たり前のひと手間を惜しまないことが肝要になる。
2025年に注意すべき詐欺の兆候
もっとも、SNS型の投資詐欺への警戒心が強まる中で、新たな手口もまん延の兆候をみせているという。佐久間氏が続ける。 「最近増えつつあるのは、いわゆるタスクをこなせばお金がもらえるといったタスク詐欺です。これは会ったこともない人間の口座にお金を振り込むという点は特殊詐欺と共通ですが、副業に着目した点という意味では、若干投資とは異なるので新しい手口なのではないかと思います。回復可能性は銀行振込なので乏しいですし、タスクの内容を変えればさまざまなタスク詐欺ができてしまうので注意ですね。 次に、お金の支払い方では、暗号資産等で支払わせる、アップルカードのIDを抜き取る等の詐欺も増えています。昔からあるにはあったのですが、警察による規制が厳しくなる中、詐欺師側も考え、あとに残らない方法、追跡しにくい方向でお金を払わせるようになってきました。巧妙化しすぎており、非常に厄介だなと思います。 このように、予兆はありますので、来年も継続して詐欺の件数は増え続けるのではないかと予想しています」