日立建機の豪子会社、ペルーで137億円投資。鋳造工場取得・26年にもミルライナー生産
日立建機は22日、豪州子会社のブラッドケンがペルーのチルカ市で鋳造工場に必要な土地や建屋、一部設備を取得したと発表した。取得時期は昨年12月で、金額は37億円。追加で100億円の設備投資を行い、2026年にも大型ミルライナーの生産を開始する。日立建機が米州での独自展開を開始した22年3月以降では同地域で最大の投資案件となる。 ミルライナーは採掘された鉱石を粉砕する装置の内側に取り付ける鋳物製の消耗部品。日立建機が17年にブラッドケンを買収し知見を得た選鉱工程の部品で、金や銅、鉄鉱石といったハードロックで使われる。 南米は世界最大のミルライナー市場とされ、うちチリとペルーが需要の8割を占めている。これまではインドやカナダなどの輸入品で賄われてきたが、日立建機はブラッドケンを通じ現地生産に乗り出すことで輸入を代替し、リードタイムを短縮する。 ブラッドケンは15カ国40拠点で鋳造事業を展開しており、ミルライナーでは16%の世界シェアを握っている。これまで南米では6%にとどまっていたが29年にもペルー工場で年産能力2万トン体制を整え、シェアを10%に高める狙い。 同工場はペルーで鋳鋼品事業を興そうとしたファンテック社が着工し、コロナショックで中断していたもの。日立建機は操業の許認可を得ている同工場を買い取ることで新規建設時と比べ2年ほど立ち上げを早められると判断した。ペルーの水力発電を活用しCO2排出を大幅に減らした工場操業や、使用済みのミルライナーを溶かしリサイクルするサーキュラ―エコノミーの推進、日立建機のマイニング部品を保管するデポとしての活用なども検討していく。