香港、民主派45人に最高10年の禁錮刑 議会選巡る国安法違反で
James Pomfret Jessie Pang [香港 19日 ロイター] - 2020年の香港立法会(議会)選挙に向け非公式の「予備選」を実施した民主派活動家が起訴された事件の公判で、香港高等法院(高裁)は19日、有罪とした被告45人に最高10年の禁錮刑を言い渡した。 香港当局は21年に、民主派47人が政権転覆を共謀したとして香港国家安全維持法(国安法)違反で起訴していた。 民主派を取り仕切ったとされる元大学教員の戴耀廷氏には禁錮10年が言い渡された。最短刑期は4年強。 米政府は民主派の起訴が「政治的動機によるもの」と批判し、「平和的」に活動していた活動家の釈放を求めてきた。 トランプ次期米大統領が国務長官に指名しているマルコ・ルビオ氏はこの裁判を強く批判しており、以前の公開書簡では、民主派の有罪判決は国安法が「香港の自治、法の支配、基本的自由に対する広範な攻撃」である証拠だと批判した。 裁判で無罪を主張していた16人のうち、活動家の鄒家成氏を含む14人が5月に有罪判決を受けていた。31人は罪を認めていた。 著名活動家の黄之鋒氏は禁錮4年8月、鄒氏は同7年9月、元記者の何桂藍氏は同7年を言い渡された。 禁錮4年超となった呂智恆氏の母親は裁判所の外で警察車両に乗せられ、「(息子は)政治犯ではない、なぜ刑務所に行かねばならないのか」と叫んだ。 裁判所の前には傍聴を希望する数百人が列を作って並び、当局は周辺区域に厳重な警備体制を敷いた。 17日午後から並んだ女性は「このような不公正は見ておくべきだ」とし、「(民主派は)今でも市民の支持があることを知る必要がある」と語った。 <豪外相「深刻な懸念」> オーストラリアのウォン外相は今回の量刑言い渡しに「深刻な懸念を抱いている」と述べ、中国に対し「(香港における)表現、集会、メディア、市民社会の自由に対する弾圧をやめる」よう求めた。 在香港米領事館のロキシー・ホージ政治部長は裁判所の外で、米国政府は「ここ香港で政治的見解を表明し、言論の自由を行使している個人に対する度重なる起訴」を非難すると述べた。 1997年に香港を中国に返還した英国はこれまで、国安法が反対意見や自由を抑制するために使われているとの見解を表明している。