中国製ライダーセンサーに悪用リスク、米軍に調達禁止勧告=米財団
Stephen Nellis Michael Martina [2日 ロイター] - 米首都ワシントンのシンクタンク「民主主義防衛財団」は2日発表した報告書で、中国製のライダーセンサーについて、米軍の紛争中に使われた場合にハッキングや破壊工作に利用されかねないとして防衛装備品や重要インフラ向けの調達を禁止するように米連邦議会議員や州政府に勧告した。 また、米国がドイツやカナダ、韓国、イスラエル、日本などの同盟国と協力し、中国製に代わるライダーセンサーのサプライチェーン(供給網)を構築するよう提言した。 ライダーセンサーはレーザーを使うことで、周囲のデジタル3D(三次元)地図を作成できる。自動車の運転支援システムで多く使われているほか、港湾などの重要なインフラでもクレーンの自動化に役立てられている。 米軍は、ライダーセンサーを自律走行する軍用車両に用いることを検討している。 報告書は、一般的にインターネットに接続したライダーセンサーは高度なプロセッサーを使っており、検出が難しい悪意のあるコードやファームウエアが侵入する恐れがある指摘。中国の法律は国家安全保障の命令に従うよう企業に強制できると定めており、中国製ライダーセンサーを用いた場合には中国政府に悪用される可能性があると警告した。 また、衛星ベースのレーザーシステムも米領土の広範囲にわたって数分の1秒でセンサーを誤作動させたり、無効化したりするのに悪用される可能性があるとした。 報告書の執筆者の1人である民主主義防衛財団シニアフェロー、クレイグ・シングルトン氏はロイターに対し「中国製ライダーセンサーは比較的安価かもしれないが、破壊工作や監視にかかる長期的なコストは節約分をはるかに上回ることは明らかだ」と訴えた。 中国のライダーセンサーの大手メーカーには、禾賽科技(Hesai)などがある。米国防総省は今年10月、中国軍と協力している企業リストに禾賽科技を戻す計画を示唆していた。