声優・島﨑信長が「“エゴイスト”が集結するアニメ制作」で思いを貫くための武器
4月19日(金)に全国公開される『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』。本作は天才ストライカー・凪 誠士郎(なぎ・せいしろう)の視点で、TVシリーズ『ブルーロック』の主人公・潔 世一(いさぎ・よいち)との出会いや、“ブルーロック(青い監獄)”での対戦が描かれる。 【写真】「声優業界の奥深さも知ってほしい」を語る島﨑信長 同級生の御影玲王(みかげ・れお)に誘われるがままサッカーを始めた凪。しかし、“ブルーロック”で全国から集められた選りすぐりのストライカーたちと出会い、徐々に凪の中にもサッカーに対する“エゴ”が生まれていく──。 そんな凪の心情の変化も描かれる本作で、凪を演じる島﨑信長。声優として第一線で活躍し続けている彼も、登場人物たちと同じように仕事に対しては常に“エゴ”を感じているという。作品と向き合う上で必要なエゴについて、さらにその思いを突き通すために欠かせない声優としての武器を聞いた。
作品をよりよいものにするために必要な“エゴ”
──「世界一のエゴイストでなければ 世界一のストライカーにはなれない」というセリフも登場する『ブルーロック』では、登場人物たちの“エゴ”がキーワードとなります。島﨑さんは役者として、自身のエゴを感じる瞬間はありますか。 島﨑信長(以下、島﨑) 常に感じています。そもそもエゴがない役者はいないと思うんですよ。一般的には「俺はこう思う」みたいな、自分だけ突出する意味に捉えられがち。でも、「みんなで足並みをそろえよう」とチームワークを重んじるのも、そう思っている人間のエゴですよね。だから、自分の中の強い思いは内容にかかわらず全部そうだと思います。特に役者をやっている人たちは、何か表現したいという強いものがあるわけだから、みなさんエゴイストです。 ──島﨑さんにとってのエゴとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。 島﨑 作品をよりよいものにしたい、という強い気持ちが常にあります。でも、いいものの定義は人それぞれ違いますし。僕は自分なりにいいと思って、芝居はもちろん、現場でもいろいろと立ち回るのだから、結局これも本当に僕のエゴですよね。 ──理想や叶えたい思いがある限り、誰でもエゴイストになり得ますね。 島﨑 身近なたとえでいうと、誰かに対して幸せになってほしいという強い思いもそうです。自分以外の人の本当の幸せなんて誰にもわからないですし。でも、だからといって自分が思う幸せを一方的に相手に押しつけたら、悪いエゴイストになってしまうと思うんです。一方で、いいエゴイストは相手とのコミュニケーションを大切にする人。相手にとっての幸せとは何か、そのために自分は何ができるのかと、会話を重ねて突き通していくんです。アニメ制作は分業体制なので、各分野のエゴイストが集結する現場なのですが、時には衝突しつつも、互いに歩み寄ったり議論を繰り返してそれぞれの「これが作りたいんだ」を実現させていく。自分だけではなく相手も含めてすべてを突き詰めていく姿を見ていると、いいエゴイストというか、これが本当のエゴイストなのかなと思います。