声優・島﨑信長が「“エゴイスト”が集結するアニメ制作」で思いを貫くための武器
声優業界の奥深さも知ってほしい
──島﨑さんは役者として、ご自身の武器はどこにあると思いますか? 島﨑 声のお芝居がすごく好き、それが僕の一番の武器です。人は結局、興味があるものでなければがんばれないと思うんですよ。「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますが、好きになること自体は後天的にできる。いや、むしろ好きじゃなくて、嫌いでもいい。ポジティブでもネガティブでも、すべてのことにエネルギーがあるので。ただ、そのエネルギーというか、興味がちょっと尋常ではないくらいのベクトルの向き方をしているものだというところが重要で、それがのちのち武器になるのだと思います。僕の場合は、声優という業界はもちろん、声優さんが関わるコンテンツも大好きで。つまり声のお芝居が大好きなところがひとつの大きな武器だと思っています。 ──お話を伺って、その思考の深さも島﨑さんの武器のひとつだと感じました。 島﨑 思考の深さについては、僕は全然。第一線で活躍されている方はみなさん物事を深く考えていらっしゃると思います。ただ、それをインタビューでわざわざ言わないだけかなと。逆に僕の場合は、インタビューであえて細かく、めんどくさく答えてしまうタイプなんですよ。 ──こちらとしては大変ありがたいですが、そのスタンスはどこからくるものなのでしょうか。 島﨑 声優業界をよくしたい、声優業界はこうであってほしい、つまり僕のエゴですね(笑)。最近の世の中は、わかりやすくライトなものが好まれる傾向が強いなと感じていて、そういったもののほうがバズりやすいし、若い世代にも興味を持ってもらえるのだと理解しています。昨今、声優業界もさらに人気が出てきて、アニメもより評価を受けるコンテンツになりました。その勢いに乗って業界の表面的なわかりやすい部分を広げていくことは大切ですし、それも声優業界をよくするひとつの方法です。でも、世の中がキャッチーでインスタントなほうに流れていくなら、反対側の部分も知ってほしいなと、抗いがちなんです。もしかしたら、この記事を読んで声優業界を目指す人もいるかもしれない。そう考えると、何かちょっとでも僕が種をまけたらいいなという気持ちでいます。