【シーツ&枕カバー】最適な“洗濯”頻度は? サボると皮膚炎&咳喘息のリスク増 医師が解説
シーツや枕カバーの手入れ方法について、悩むことはありませんか。定期的に洗濯をするのが望ましいですが、時間がなくてついさぼってしまう人も多いと思います。 【画像】「えっ…!」これが“シーツの洗濯”をサボったときに生じる症状です シーツや枕カバーはどの程度の頻度で洗った方がよいのでしょうか。洗わずに使い続けた場合、体にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。シーツや枕カバーを洗濯する際や保管する際の注意点も含め、美容クリニック「APOLLO BEAUTY CLINIC」(東京都渋谷区)院長で、美容外科医・美容皮膚科医の鬼沢正道さんに聞きました。
「1~2週間に1回」の洗濯で問題なし
Q.シーツや枕カバーは毎日洗った方がよいのでしょうか。それとも、週に1回程度の洗濯でも問題はないのでしょうか。洗濯の適切な頻度について、教えてください。 鬼沢さん「シーツや枕カバーは、毎日洗濯する必要はありません。むしろ毎日洗濯をすると、シーツや枕カバーの繊維のほつれやゴワつきの原因となり、寝具の寿命が低下するほか、快適な寝心地を妨げ、皮膚トラブルの原因にもなりかねません。 シーツの肌触りは寝心地の良さと密接に関係していますが、シーツの繊維のきめ細かさを保てるのは最初の数回の洗濯までといわれており、それ以降は徐々に、顕微鏡レベルではありますが、繊維構造の粗さが出てくるというデータがあります。 洗濯頻度は基本的に1~2週間に1回で十分だと考えられますし、この程度の頻度でも寝具を清潔に維持できます。もちろん、夏のように汗をかきやすい季節や湿気が多い季節は、洗濯頻度を通常よりも増やした方が良いと考えますが、単純に洗濯頻度を増やすだけでなく、洗濯後にしっかりと乾燥させることが寝具を清潔に保つ上で重要なポイントです。 寝具には、物体に含まれる水の量の割合を示す『含水率』という指標があります。含水率は部屋の湿度にもよりますが、例えば含水率10%の寝具であれば、寝ているときにかいた寝汗のうち90%は蒸発し、10%は寝具の繊維の中にとどまるということです。 後で説明しますが、湿気の多い環境ではダニのような小さくて有害な虫などが増殖しやすくなり、体に悪影響を及ぼす可能性が出てきます。寝具が多量の湿気をため込んでいれば、その中にダニが多く繁殖しているかもしれないということです。 『快適な寝心地を維持しつつ、ダニのような有害な虫を増やさない程度に清潔を保つ』のが寝具を洗濯する目的です。先程、私は『洗濯頻度は基本的に1~2週間に1回で十分』だと説明しましたが、ダニなどが寝具の中で産卵、増殖し、成熟するまでの周期がだいたい2~4週間程度と仮定すると、1~2週間に1回の洗濯頻度でも清潔さを十分に維持できるはずです」 Q.シーツや枕カバーを洗わずに使い続けた場合、体にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。 鬼沢さん「シーツや枕カバーを洗わずに使い続けると、ダニのほか、真菌(カビ)などが増殖する可能性があります。 真菌やダニが繁殖した環境に長い間、体がさらされると、皮膚症状や呼吸器症状が現れます。具体的にはアレルギー性皮膚炎やせきぜんそく、アレルギー性鼻炎などです。こうした症状は、生きている真菌やダニのみならす、それらの死骸の接触、暴露でも現れます。 また寝具には、ダニだけでなく、ハウスダストなどのほこりや花粉も付着するため、それらに対するアレルギー反応としても同じような症状が現れる可能性があります。さらに、まれではありますが、ダニが媒介した病原体により、発熱や倦怠(けんたい)感、関節痛などの症状が出る場合もあります。 興味深いのは、こうした症状が『寝ている間に起こる』ということです。例えば、ほこりっぽい布団に毎日寝るとして、寝ている間、絶えずせきやかゆみが止まらなければ、熟睡することはできません。 しかし、こうした症状が『寝ている間に起こっている』ので、あまり自覚していない人が多いというのが現実です。『最近たくさん寝ているはずなのに、日中、眠くてだるい』という場合は、睡眠中に何らかの症状が出ているかもしれません。思い当たる場合は、一度寝具を洗濯して、入念に乾燥させてみてはいかがでしょうか」 Q.もしシーツや枕カバーを不衛生な状態のまま放置したことが原因でかゆみやぜんそくのような症状が生じた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。 鬼沢さん「もし寝具に関して、先述の皮膚や呼吸器に関する症状が現れた場合、医療機関の受診をお勧めします。最近は土日・祝日のほか、平日の遅い時間まで診療している内科や皮膚科も増えつつあります。サイトから比較的スムーズに予約できる医療機関もたくさんあり、待ち時間も以前に比べると少なくなってきた印象です。 市販の薬でも優秀な製品はたくさんありますが、症状を自己判断してしまうと、症状が悪化する可能性があります。症状が悪化する前に、医師の診療を受けるのが無難だと思います」