クオンツ投資家、500億ドル株買いへ-選挙後にボラティリティー急低下
(ブルームバーグ): ドナルド・トランプ氏の米大統領選挙勝利が引き金となった米株相場の急上昇の中で、ルールに基づいて取引するクオンツファンドにとっての買いシグナルが発せられた。上昇にさらに拍車をかけることになりそうだ。
5日の投票日を前に、ウォール街は選挙後の混乱リスクに備えていた。しかし、トランプ氏の明確な勝利を受けて、恐怖指標として知られるボラティリティー指数(VIX)は1日として2021年以降で2番目に大きな低下となり、S&P500種指数は2.5%上昇した。この動きにより、システマティックなファンドは株式を買うことによるリバランスを余儀なくされ、テクニカル要因によるフィードバックループが株価上昇の他の要因に加わることになった。
ゴールドマン・サックス・グループの戦術スペシャリスト、スコット・ルブナー氏は6日のリポートで「年末ラリーは今日始まり、恐らく投資家の予想を上回るだろう」とし、その背景として「選挙ヘッジの解消、レバレッジの再構築、自社株買い、FOMO(乗り遅れ恐怖症)、VANNA」を挙げた。VANNAはオプションの定期的な失効に関連する買いの一種。
ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルの分析によると、ボラティリティーコントロール(VC)ファンドは今後1カ月に500億ドル(約7兆7000億円)、来年1月までに合計1100億ドルの米国株を購入する見通し。
また、いわゆる「リスクパリティー」ファンドによる世界株式への大規模なシフトも予測される。ルブナー氏は、この2種類の投資戦略からの高水準の買いの可能性を指摘している。
通常、ファンダメンタルズ要因よりもボラティリティーのシグナルによって動くマネージドリスクファンドは、日々の価格変動幅の変化に敏感に反応する。市場が混乱しボラティリティーが高まるとリスクを抑制し、ボラティリティーが落ち着くと逆にリスクを拡大する傾向がある。