「女の努力は冷笑されてきた」伝説のテニス選手ビリー・ジーン・キングが示した性の平等
真の自由を手に入れるまで
私の人生が、いまここに挙げたすべてを証明している。 1981年、同性愛者であると暴露(アウティング)されたとき、企業スポンサーは一夜にして残らず撤退した。現在の私なら、笑ってこう考える。「ちょっと待ってよ――いまの時代、レズビアンだとお金がもらえるのに?」 おっと、少し先走りすぎたようだ......。あのころはまだ、私が望むような世界は存在していなかった。その世界を実現できるか否かは私たちの世代にかかっていた。大戦直後のベビーブームへの変わり目に生まれた私たちは、古きを捨てて新しきを築くという危うい綱渡りをしてきた。時代は私に大きく味方した。 一方で、私が背負った荷は重く、50歳になるころには完全に押しつぶされかけていた。あれほどの重荷を経験した人はそういないだろう。私の最大の敵は、ときに私自身だった。 私は怒りに駆り立てられていると世間は見ていた。けれど、それは違う。最大の原動力は、信念だった。私はほかの人よりも多くの闘いに勝利してきた。でも、この本で伝えたいのは、真の自由を手に入れるまでの闘いについてだ。
ビリー・ジーン・キング(テニス選手)