【高齢出産のリアル】「現在では、45歳以上の初産は全体の0.1%」|美ST
一般的に35歳以上とされている高齢出産ですが、高度生殖医療が一般的になりつつある今、45歳以上で出産するケースも。そんな現代の高齢出産事情について産婦人科医にお話を伺うとともに、10年以上不妊治療を続けた人や海外での治療に踏みきった人など、“高齢出産の現在地”についてお届けします。
かつてはゼロに近かった45歳以上での初産。現在は全体の0.1%に
「45歳以上での初産は以前はほぼゼロでしたが現在では全体の0.1%、1000人に1人になっています。不妊治療は日々アップデート。胚移植前に受精卵の染色体異常を調べることができる着床前診断や、若い時の卵子を冷凍保存しておく卵子凍結が普及したことで、45歳以上でも妊娠できる可能性が少しずつですが増えてきてると言えます。ただ、年齢とともに妊娠、出産に至る可能性が下がることには変わりはなく、また、高齢出産は妊娠高血圧や前置胎盤などのリスクも高くなります。妊娠時のリスクには遺伝的要素もあるので、自分が生まれた時の状況についてご両親に確認することもお勧めです」(岡田先生)
「 卵子凍結すれば安心」は× あくまで選択肢の一つ
「卵子凍結とは将来の体外受精による妊娠に備えて若いうちに質の良い卵子を採取し、若い時の生殖能力を保ったまま凍結保存しておくこと。年齢が若いほど、数も多く採卵できる傾向があります。卵子凍結は将来の選択肢を増やす一つの方法ですが、妊娠を確約するものではなく、凍結保存のためにはコストも。生理不順や月経痛があるなら、婦人科に通って自分の体を知り、卵子以外の不妊の原因を解決することも重要です」(岡田先生)
お話を伺ったのは...グレイス杉山クリニック SHIBUYA院長岡田有香先生 聖路加国際病院にて不妊治療に携わる。’21年より杉山産婦人科でも不妊治療を学ぶ。卵子凍結とプレコンセプションケアに特化した診療を行う。
「14年の治療を経て47歳で出産 信じられないくらい嬉しかった」
「信頼できる先生になかなか出会えず、10年以上にわたる治療で体への負担も心配になっていた44歳の頃、最後の砦と言われるクリニックへ。毎月採卵して最終的に5個、凍結できたなかの最後の受精卵で妊娠しました。費用は膨らみましたが、体と心を健康に整えるためにピラティス、鍼、漢方などできることはやり尽くし、夫婦では子宝神社を巡って気持ちを落ち着かせていました。『前向きな気持ちで毎日笑って』というドクターのアドバイスも励みになりました!」(Nさん・50歳) 【妊活データ】 ・不妊治療開始年齢/33歳 ・治療ステップ/タイミング法→人工授精→顕微授精 ・通院期間/約14年(途中数年ブランクあり) ・通院したクリニック/7軒(海外赴任先含む) ・おおよその費用/1500万円前後
海外の不妊治療事情は? 着床前診断の運用も国によってさまざま
「第一子は自然妊娠、43歳の時に第二子の不妊治療をバンコクで経験。有名なゴッドハンドの先生がいるバンコク郊外の不妊治療クリニックへ。成功率は日本より高いと説明があり通訳もいて言葉の壁も問題なし。顕微授精をしましたが、採卵は全身麻酔で痛みもゼロでした。タイは先進医療に積極的で着床前診断では性別も判明。日本人専門のコーディネート会社もあり利用者も多く、バンコクは不妊治療がしやすいと私は感じます」(バンコク在住・Bさん 47歳) 2024年『美ST』9月号掲載 イラスト/green K 取材/伊藤恵美