ソマリランドで野党党首が大統領選勝利、国家承認広がるか注目
Giulia Paravicini Aaron Ross [ナイロビ 19日 ロイター] - ソマリアからの独立を宣言しているソマリランドでは、先週の選挙で野党ワダニ党のアブディラフマン・チロ党首が現職のムセ・ビヒ・アブディ大統領を破り、政権が交代することになった。今後、他国による国家承認の動きが広がるか注目される。 ソマリランドは1991年にソマリアからの独立を宣言して以来、事実上の自治権を維持しているが、どの国からも承認されず、国際金融へのアクセスや約600万人の住民の移動が制限されている。 ソマリランド選挙管理委員会によると、チロ氏の得票率は64%、ビヒ氏は35%だった。 「今回の選挙は勝ち負けの問題ではない。団結と友愛の選挙で国家として前進させるための選挙だ」とチロ氏は19日のテレビ演説で述べた。 ソマリランドはインド洋と紅海の合流点という戦略的な地点に位置している。1月には内陸国であるエチオピアとの間で、国家承認と引き換えに沿岸部の土地の使用を認めるという予備協定を結んだ。 ソマリランドはまた、トランプ次期米大統領の政権が自国の主張に好意的であろうと期待している。第1次トランプ政権時の対アフリカ政策担当の主要メンバー数人が、ソマリランドの承認を支持すると表明しているからだ。 チロ氏はエチオピアとの協定を支持する姿勢を示しているが、協定を実行するかは不透明。一部のアナリストは、同氏が協定に反対しているソマリア政府との対話に、より前向きになるのではないかと見ている。 この協定によりエチオピアとソマリアの関係は悪化し、ソマリア政府はエチオピアと歴史的に反目しているエジプトとエリトリアに接近することになった。 ビヒ政権下でソマリランドとの緊張関係が続いていたソマリアと隣国ジブチの大統領らは、チロ氏の勝利を祝福した。 エチオピア外務省もチロ氏に祝意のメッセージを送った。