俳優・奥平大兼インタビュー 自身の現在地、人として守りたいものを語る
隣で感じたSnow Manラウールの魅力
──奥平さん的にいちばん絡みが多かった共演者はどなたでしょう。 ラウールくんですね。第一印象は、みんな思うかもしれないけど大きいなって(笑)。今回初めましてで、年は僕と同い年なんですけど、すごく大人な方だなと思いました。原作のある作品で、主演。プレッシャーもあったはずなのに、ちゃんと周りを見て、常に気遣いをしていて。でも、僕と2人でいるときは年相応のところもあって。会話の中身なんて本当に記憶にもないようなどうでもいいことばっかりなんですけど(笑)。すごくラフに話せて楽しかったです。 ──ラウールさんのお芝居のどんなところに魅力を感じましたか。 やっぱり絵になるなって。これまで映画を何本かやらせてもらって、カメラのフレームにおさまったときの存在感というか、ついこの人を見ちゃうよなという吸引力って、正直天性のものだなと感じていたんですね。ラウールくんは絵力がすごい。一緒にいても熱いものを常に感じて。荒邦という役自体、熱くてガムシャラなところのあるキャラクターで、ラウールくんが演じるからこその説得力があるなって、隣で見ていて感じました。 ──個性豊かなボディガードが登場しますが、奥平さんなら誰に守られたいですか。 迅来風太ですね。劇中でも強いし、活躍するし、忍者なんで忍びながら見守ってくれるんじゃないかと。また演じる戸塚(純貴)さんが面白いんですよ。ふざけ具合がちょうどいいんです。みんなが笑えて、かつ脱線しすぎない絶妙なラインでふざけるところが面白くて、ユーモアのある方だなと思いました。 ──映画ではクラスメイトたちが赤羽骨子を守る姿が描かれていましたが、奥平さんが俳優として守りたいものはなんですか。 僕は『MOTHER マザー』という映画で初めてお芝居をさせてもらったんですけど、やっぱりそこで教えてもらったことは今でも忘れないように意識していますし、あの現場が自分を育ててくれたという感覚がありますね。 ──具体的にどういうことでしょう。 ずっと変わらずに守りたいなと思っているのは、「お芝居って楽しいんだよ」という心がけですね。大森(立嗣)監督から教わったことなんですけど、最初に言われたときは何を言ってるか正直わからなかったんです。でも、やっていく中で、確かに楽しむって大事だなということに気づいて。お芝居に対して、まずは楽しむという気持ちを大切にするようにしています。 あと、思っていないことを出さないというのも大事にしています。もちろん台本がある以上、お芝居ってある程度形が決まったものだとは思うんですけど、でも本番のその瞬間にその気持ちになれていないものを嘘ついて出すみたいなことは違うなと。ちゃんと自分がそのときに感じたことをそのまま出すことを心がけています。 ──じゃあ、人として守りたいものはなんですか。 優しい人間でありたい、って最近すごく思うんですよ。自分の性格的に、人に寄り添うということをちゃんとできていない気がして。でも、お芝居ってそれこそ役に寄り添うことが大事。だから、どんな相手に対しても、まずはその人の気持ちに寄り添って、優しい対応ができる人間になりたいなって。しているつもりではあるんですけど、まだまだできていない場面も多いので、ちゃんとできるようになりたいです。 ──本作は学園モノですが、奥平さんの高校時代の青春の思い出といえばなんでしょうか。 僕、その頃からすごい洋服が好きで。友達も洋服が好きな子が多かったので、学校帰りの放課後によく背伸びして原宿とか渋谷をわけもわからず歩き回っていたんですね。気になる洋服屋さんに入って、あれこれ商品を見て、店員さんに話しかけて、でもお金がないから何も買わずにそのまま出るみたいな(笑)。今思えば迷惑なお客さんですけど、そのときに通った洋服屋さんの店員さんとは今でもつながりがあったりして。特別に何かをしたわけではないんですけど、子どもたちだけで原宿や渋谷まで出ること自体、新鮮だったのもあって、あんなふうに自由に遊んでいられた日々は青春だったんだなって、今にして思います。 あ、あと、当時、タピオカが流行っていて、よくみんなで飲んでいたので、タピオカはちょっと青春の味って感じがしますね(笑)。 ──奥平さんは中高一貫の学校に通っていたんですよね。一緒にいた時間が長い分、卒業式では泣くこともありましたか。 それが全然泣かなかったんですよね。6年間ずっと友達だったから、正直大学に行ってもみんなと会うだろうなというのはわかっていたので、あんまりお別れ感がなかったというか。僕にとって学校生活の思い出って、行事ごとよりも、友達のみんなと過ごした時間だったんですよ。卒業してもそれは変わらず続いていくものなので、悲しいとか、そういう気持ちにはならなかったんだと思います。