なぜゼクシィは「厚い、重い、デカい」雑誌を続けるのか…「結婚離れ」の中でも部数好調を維持し続けるワケ
■覚悟を持って取り組んだ広告 さらに「編集部一人ひとり覚悟をもって取り組んだ」と森統括編集長が語るのは、2023年に掲出した、30周年を記念した広告だ。「あなたが幸せなら、それでいい。」というコピーと共に、同性カップルや事実婚カップル、国際婚カップルを含めた8組のカップルを登場させた。 広告には「誰がなんと言おうといいのです。幸せの決定権は、いつだって自分にあるのだから。どうか選べますように。他でもない、あなたが幸せになる選択肢を」などとのメッセージも添えた。 過去、誌面に同性カップルが登場したことはあったものの、広告のメインビジュアルとして登場したことは一度もない。 広告掲出後、好意的に受け止める声があった一方で、同性婚を求める当事者などから「自分たちは結婚をしたいのにできない。無責任だ」などといった声もあった。森統括編集長は言う。 「いただいた声はすべて真摯に受け止めています。ただ、私たちは、『この人と一緒に生きていきたい』の決意に寄り添い、応援する存在でありたいという思いをもって、これからも取り組みを続けていきたいと思っています」 結婚の在り方と共に変化してきたゼクシィ。どんなカップルも、ページをめくったときに幸せを感じられる誌面であってほしい、と十数年前の読者は切に願う。 ---------- 市岡 ひかり(いちおか ひかり) フリーライター 時事通信社記者、宣伝会議「広報会議」編集部(編集兼ライター)、朝日新聞出版AERA編集部を経てフリーに。 AERA、CHANTOWEB、文春オンライン、東洋経済オンラインなどで執筆。2児の母。 ----------
市岡 ひかり