日銀・黒田総裁会見10月31日(全文1)物価見通し、17年度はいくぶん下振れ
金融緩和を含むアベノミクスが信任された形だが、あらためてデフレ脱却にどう取り組むのか
時事通信:では2問目です。先日の衆院選で自民党が大勝し、大規模緩和を含む、金融緩和を含むアベノミクスが信任された格好となっています。あらためて、デフレ脱却にどう取り組むのか。また、あす発足予定の新内閣に対して何を期待されるのかをお聞かせください。 黒田:もちろん日本銀行としては今後とも2%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するため、現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で強力な金融緩和を進めていく方針に変わりはありません。なお新しい内閣におかれては、持続的な経済成長の実現を含めさまざまな政策課題に対して適切な政策を進めていかれることを期待しております。
増税、財政健全化目標の先送り決定を受け、目標の再設定などはあるのか
時事通信:最後になりますが、その衆院選で争点の1つであった消費税増税の是非は与党の勝利により増税が決まりました。一方20年度としていた財政健全化目標の先送りも決まり、財政規律の緩みも警戒されています。目標の再設定、健全化に向けた取り組みについて、どうお考えになるか、あらためてお聞かせ願えますでしょうか。 黒田:財政運営につきましてはもちろん政府、国会の責任において行われるものでありまして、具体的にコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で一般論として申し上げますと、わが国の政府債務残高が極めて高い水準になっていることを踏まえますと、政府が中長期的な財政健全化について、市場の信認をしっかりと確保することは重要であると考えております。2013年1月に公表した政府、日本銀行の共同声明におきましても、政府は持続可能な財政構造を確立するための取り組みを着実に推進することとされております。 なお、財政健全化目標については安倍総理もプライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかり堅持するとした上で、今後、達成に向けた具体的な計画を策定すると述べられていると承知しております。日本銀行としては持続可能な財政構造の確立に向けて、こうした取り組みが進められていくということを期待しております。 時事通信:ありがとうございました。各社さんお願いします。 【連載】日銀・黒田総裁会見(2017年10月31日)全文2へ続く