国内唯一の「塩田熟成カキ」で世界に勝負…瀬戸内海の離島で起きている「オイスター革命」の中身
■社員一人一人が経営を把握する フランスやオーストラリアの養殖場は億単位の資金を調達して最新鋭の設備を導入し、日ごろから銀行やファンドと二人三脚で事業計画の進捗(しんちょく)状況をチェックしているという。 「経営者は基本的に毎朝1回だけ現場に顔を出すだけで、あとは数字とにらめっこしているだけなんですよ」 ファームスズキでは、個々の社員は定期ミーティングでカキの成長スピードや出荷量などのデータを共有し、経営状態を把握するよう求められている。もちろん理論を理解して効率向上に役立てるためだ。 日本唯一の「クレールオイスター」を開発し、世界で勝負しようとしているファームスズキ。クレールオイスターが狙う高級市場で勝つためには最新技術を取り入れ、イノベーションを起こさなければならない。 となると、機械化投資が最優先課題となる。 ■出荷目標は「年30万~60万個」 同社にとって手本となる養殖場は二つある。一つはフランス、もう一つはオーストラリアの養殖場だ。どちらも積極的な機械化投資をテコにして生産性を大きく高めている。 ざっくりと言えば次のようになる。 ---------- ・フランスの養殖場 社員20~25人で年800万個を出荷する。社員1人当たりで年32万~40万個 ・オーストラリアの養殖場 社員7~8人で年400万個を出荷する。社員1人当たりで年50万~57万個 ---------- 社員1人当たりで年30万~60万個になるわけだ。ファームスズキ社長は「これが一つの目安です。そうでなければ世界で通用しない」と語る。 クレールオイスターは高級市場向けであり、単価はむき身と比べて3~4割高くて80~90円だ。30万個が1粒90円で売れたとすると、社員1人当たりの売り上げは年2700万円になる。 ちなみに、シンガポールの人気オイスターバー「オイスターバンク」では、生カキは1粒4~5ドル(600~750円)で売られている。