「終りに見た街」大泉洋インタビュー「戦争の悲惨さをリアルに感じて」
――もし、大泉さんが戦時下にタイムスリップしたらどう立ち回ると思いますか? 「うーん…。でも、僕自身もそれを考えながら脚本を読み、撮影をしていました。僕は太平洋戦争でどういうことが起きるのか、その歴史を知っているわけで、どうすれば家族や大切な人たち、そして多くの人を救えるだろうと考えると思うんです。でも、戦時中の世の中では、そういった行動を起こすことで逆に自分の命が危機にさらされてしまうはず。そんな中で、僕に太一のような勇気ある行動が取れるのか…それは正直分からないですね」
――いざその場に置かれたら、自分も人々に流されてしまうかもしれない、と。 「そうですね。でも、今回あらためて怖いなと思ったのは、次第に戦争に対して人々があらがえなくなっていくことなんです。誰しも本心では“戦争はダメだ”と思っていながら、国から恐怖で縛られることで本当の気持ちを発信できなくなっていく…それが戦争の背景だと思うんです。どう考えても間違えた方向にかじが切られているのに、それに対する人々の声が遮断されてしまうのが本当に怖いところだなと。このドラマの中でも描かれていますが、戦争にあらがうような発信をするとワーッと囲まれて、『ふざけたこと言うな!』とか『今、国が戦ってる時に何言ってんだお前は!』と責められてしまう。今、戦争している国の情勢はきっとそうなっているのだろうな、と悲しみを感じました」
――最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。 「まず、山田さんの書かれた原作が、どの時代においてもリメークするのに大変適しているなと思いました。そして、戦争という重いテーマでありながら、笑いも盛り込まれた宮藤さんの脚本の面白さを楽しんでいただきたいです。戦争の悲惨さを生々しく感じていただけると思いますし、僕らも恐怖を突き付けられながら、思い悩みながら演じました。ぜひこの作品を見て戦争について家族と話したり、考えていただけたらうれしいです」