夏の全国王者が手繰り寄せた2試合続けての逆転勝利。2024年を『昌平の年』にするためのリスタート 高円宮杯プレミアリーグEAST 昌平高校×尚志高校マッチレビュー
この日の尚志戦でもセンターバックに入り、安定したパフォーマンスを披露していた鈴木翔の感想も印象深い。「LAVIDAの時に1回全国準優勝はしたんですけど、優勝となると全然景色が違いますね。やっぱり価値のあるものだと思いますし、最高でした」
2021年の年末に開催された『高円宮杯 JFA 第33回全日本U-15サッカー選手権大会』で、昌平の下部組織に当たるFC LAVIDAは決勝まで進出。最後はサガン鳥栖U-15に敗れて準優勝に終わったものの、その日のスタメンは鈴木を含めた7人が尚志戦のスタメンと同じ顔ぶれ。いわば今回の日本一は“3年越し”のリベンジ達成という側面もあったのだ。
今季から昌平の指揮を執っている玉田監督は、インターハイの6試合を経た選手たちの変化を、敏感に感じ取っていた。「まずは戦うとか、1対1で負けないというところは凄く見えましたね。『ここで勝てばオレらは絶対に優位に立てる』と。そこで勝るかもしくは互角ぐらいに戦えれば、ウチが絶対にやれるというのは感じましたし、それを自分の身体で感じたことが大きいですね。やっぱり言葉で伝えるよりも、自分たちで感じることの方が頭にも残りますし、身体も覚えているんですよ」。真夏の貴重な体験が、チームを一段階先のステップへと進めてくれたことは間違いない。
とは言いつつ、彼らもまだ高校生。ビッグタイトルの獲得がすべてプラスに転じるとは限らない。「ちょっと燃え尽きた感じはあったと思います」と鈴木が話せば、「正直、練習の雰囲気もフワッと入ってしまったり、強度が低くなってしまったこともありましたし、フェスティバルでも圧倒された試合もあったので、気の緩みもあったのかなと思います」とは大谷。インターハイ後はどの対戦相手も“日本一のチーム”を倒そうと高いモチベーションで向かってくるのに対して、少し受けて立つような試合が目立っていたという。
ワールドカップにも出場した指揮官が、そんな緩んだ空気感を見逃すはずもない。「玉田さんから『もう日本一は過去のことだから、またしっかりイチから選手権とプレミアを獲るためにやっていこう』と言われて、そこで湊斗を中心に改めて選手で話し合いました」(坂本)。自信と過信は紙一重。気を引き締め直して挑んだプレミアリーグの後半戦で、いきなり連勝スタートを切れたことが、彼らに“謙虚な自信”を持つことの大事さを、より教えてくれたと言ってもいいだろう。
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