特別編でわかった「海のはじまり」はなぜややこしいのか 視聴者からは「イライラする」との声も出た
うまいタイトル
「本編タイトルが『海のはじまり』で、特別編が『恋のおしまい』。うまいタイトルを付けたと思います。水季は久々に足の指に青いペディキュアを塗って津野との楽しいデートに向かいましたが、帰宅後、それを拭き取るシーンがタイトルを見事に表現していました。仕事と子育ての両立の難しさの中、同僚の津野のサポートに頼っていた水季にとってひと時、1人の女性に戻ることができた瞬間でした。 しかし、その間も娘のことが頭によぎり、恋をしている場合ではないことを悟ります。ただ、視聴者からは『親子の葛藤はあるにせよ、もっと母親(大竹しのぶ)に頼ればいいのでは』『津野くんと結婚すれば楽なのに。イライラする』といった素朴な意見も上がっています」(前出の放送ライター) 「自分が嫌なんです。今になって恋愛しているのも、それでいちいち前のことを思い出しちゃうのも嫌なんです」 水季の漏らした本音に津野は「いいよ」と答えるが、水季は「よくないです。ダメです」とかたくなに拒絶。「今はギリギリ大丈夫だけど、(津野と)2人きりになりたいなぁ、子ども邪魔だなぁ、この子じゃなくてこの人の子どもが欲しいなぁって思うようになっちゃうの、怖いんですよ」と打ち明けた。当事者にしか分からない心境かもしれないが、ややこしさは拭えない。それを越えた家族の在り方をこのドラマは問題提起していたのではないか。 今後、気になるのは夏の現在の恋人・弥生の決断だろう。自分に向いていた夏の愛情が、海の出現以降、海に集中しているため最近は孤立感に悩んでいる。水季と弥生の共通点を指摘する声は多いが、「今はギリギリ大丈夫だけど、2人きりになりたいなぁ、子ども邪魔だなぁ、この子じゃなくてこの人の子どもが欲しいなぁって思うようになっちゃうの、怖いんですよ」という水季の台詞は、今の弥生の心境に通じており脚本の緻密さを感じさせる。 1週間延びた第9話は9月2日の放送予定。水季から弥生に渡された手紙の中身は何だったのか。夏と弥生の関係も「恋のおしまい」になってしまうのだろうか――。
デイリー新潮編集部
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