GLAY・TERUが語るバンドの哲学とサマーソニック 「伝説の地」幕張に再び立つことの意味
「攻めのシングル」JAYとの制作秘話
─その中で、今回のシングル「whodunit-GLAY × JAY(ENHYPEN)-」はかなりびっくりしました。ENHYPENのメンバーであるJAYさんとコラボを果たしています。 TERU:TAKUROが2年前ぐらいから、「TERUがどんどん進化していくから、その歌力にぶつけて楽しめるような人を当ててみたいんだよね」ってことを言っていて。いろんな候補があがってきたんですけど、JAYくんが候補にあがったとき、面白いと思ったんですよ。世界で活躍しているアーティストとGLAYとぶつかったらどうなるんだろうなって面白さがあった。ダメ元でオファーしたら快諾をいただいて。カップリングの「シェア」っていう曲が僕たちが残していきたい世界のJ-POPだとしたら、これはまた違った世界の僕らのアウトプットとして楽しんでもらいたい曲になっていますね。 ─25周年のインタビューもそうですし、最近のインタビューでも、TERUさんは歌い方や体のケアのことをお話してらっしゃいます。TERUさん自身、ご自身の進化というものに意識的なんでしょうか? TERU:15年前ぐらいに、ポール・マッカートニーの東京ドーム公演を観に行ったんですけど、変わらない声で歌っていたんですよ。水も飲まないし、どうなっているんだろうと思って。当時すでに60歳を過ぎていましたけど、あんなすごい歌を歌うんだと驚いたんです。そこで自分の中で開花したというか、自分もああなりたい!と思った。ポールはめちゃくちゃ音楽が好きで、普段から歌っていて、リハーサルで、じゃあ今日これやろうみたいな感じでセットリストを決めたりする時もあるという話を聞いて。自分もそういった60代を迎えたいなと思ったら、ちゃんとケアもしなきゃいけないし、歌えるような体力もなきゃいけないっていうことで、歌に向き合ったというか。自分が思うクオリティの歌を毎回届けていきたいなと思うようになりましたね。 ─「whodunit」は、実際に韓国に行ってボーカルレコーディングをされたんですよね。そのあたりのやりとりはいかがでしたか? TERU:元々データのやり取りでデモを送りあって仮歌も歌ってもらっていたので、JAYの歌唱力をしっかりと理解した上で、レコーディングするだけの状況で行くことができました。一声出した瞬間は、インパクトの強さというか、世界で戦っているボーカルだなと思いましたね。 ─他のインタビューで、GLAYはそのとき何を思っているのかを正直に伝えるバンドとも発言されていました。そういう意味でいくと、リリック自体は穏やかじゃないというか混沌とした感じの内容ですよね。 TERU:世界では戦争が起きていますし、自分の人生は有限でそんなに長くないんだ。そういうことをTAKUROは伝えたいんだなと思う内容で。今回、JAYも作詞をしているんですけど、その質感は理解してくれた上で、言葉の選び方をしていると思っていて。JAYの部分はすごくわかりやすいし、TAKUROにはTAKUROの言い回しがある。そこは2人の持ち味をちゃんと出しているんじゃないかなと思います。 ─JAYさんとのコミュニケーションについて、印象的だったことはありますか。 TERU:ロックが大好きなことですね。しかもギターが大好きすぎて、HYBE社屋の中に個人で音楽制作をするような場所があって。ギターを練習してる部屋があるから見てほしいってことで、JAYの個人の部屋を見せてもらったんです。そしたらコンパクトエフェクターがいっぱい置いてあって。アンプに繋いで、これこんな音するんですよ!ってバーンと弾いて。本当にギターキッズなんだなって思いました(笑)。すごく意外でしたね。ワールドツアーで何十万人も動員しているアーティストが、こんなふうにロックバンドを好きで、ギターを弾いている。TAKUROが「好きなミュージシャンはいるの?」って聞いたらスティーヴィー・レイ・ヴォーンと言ってましたけど。そういう時代なのかなって。「誘惑」が好きだから一緒に演奏したいって言われて一緒に撮ったので、TikTokで配信されると思います。 ─サウンド面でいうと、現行のダンスチューンにロックが融合したハードかつポップな楽曲になっていますよね。めちゃめちゃ格好いい。 TERU:HISASHIが頑張ってアレンジしてくれて。ボーカルのエフェクトに関しても今やりたいことがあって。エンジニアの工藤雅史さんと一緒にMelodyne(ピッチ補正ソフトウェア)を使って色々と調整したり、3つ上のコーラスも機械的に作ってみたり、そういうところで実験的な、普段のGLAYがやらないことをやってみたりしていますね。 ─TERUさんの伸びのある声をエフェクトで抑えているのも、挑戦的な試みですよね。 TERU:ちょっと寒々した感じというかね。熱い歌ではあるんですけど、機械が入ることによって、その熱の半分ぐらいで抑えられている感じがします。