日産「フェアレディ240Z」が米国ロード・テスト誌 “今年のスポーツカー賞”を受賞【今日は何の日?12月28日】
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日12月28日は、初代フェアレディZの北米向け「フェアレディ240Z」が、米国の有力自動車専門誌のひとつであるロード・テスト誌の1971年“今年のスポーツカー賞”を受賞したことを日産自動車が発表した日だ。 TEXT:竹村 純(JUN TAKEMURA)/PHOTO:前田 惠介、三栄・70年代国産車のすべて、歴代フェアレディZのすべて 日産・フェアレディ240Zの詳しい記事を見る ■フェアレディ240Zが米国ロード・テスト誌のスポーツカー賞を受賞 1970(昭和45)年12月28日、日産自動車は北米向け「フェアレディ240Z」が米国の有力自動車専門誌のひとつであるロード・テスト誌から、1971年“今年のスポーツカー賞”に選ばれたことを発表した。最終選考で「ポルシェ914」と争ったが、総合的な判定でフェアレディ240Zが選出されたのだ。 米国で高い評価を得たフェアレディ240Z ロード・テスト誌は、米国の有力な自動車専門誌のひとつで、毎年“今年のスポーツカー”を選出している、 この賞は、同誌が性能、スタイリング、価格などあらゆる面でテストを行ない、その年No.1に相応しいと認めたスポーツカーに贈られるもの。 同誌は、フェアレディ240Zについて「我々はフェアレディ240Zが偉大なスポーツカーであることを、いつまでも喜んで保証する。目下米国で人気が高く、注文が追われているフェアレディ240Zのメーカー日産が、この受賞でさらにうれしい悲鳴をあげるかもしれないが、それでも我々は、このクルマ以外になかった」と述べた。 さらに、同じく米国の有力自動車雑誌ロード・アンド・トラックが選出した1971年“ワールド・ベストカー”にも選ばれた。これは同誌が、セダン、スポーツカーについて、価格、スタイリング、エンジンなど総合的に評価して、その年の優れた10台を選出するもの。ちなみに他に選ばれたのは、「BMW3.0CS」、「シボレーカマロ35SS」、「シトロエンSM」、「フェラーリ356GTB/4」、「ジャガーXJ6」、「ランボルギーニ・ミウラSV」、「メルセデス・ベンツ350SL」、「メルセデス・ベンツ300SEL6.3」、「ポルシェ911」だった。 トヨタ2000GTに対抗して登場した初代フェアレディZ フェアレディZは、オープンスポーツのフェアレディシリーズの後を継いで、1969年にボディをクローズドクーペに一新して誕生した。「トヨタ2000GT」に対抗して、高価なマニアのためのスポーツカーでなく、誰でも運転を楽しむことができるGTカー的な要素を取り入れたスポーツカーである。 北米をメインとした海外市場をターゲットに、スポーツカーらしいロングノーズ&ショートデッキの美しいフォルムを採用。インテリアについても、コクピットの眼前に2つ、センターコンソールに3つのメーターを配置するという凝りようで、多くのファンを魅了した。 国内向けのグレードは、標準グレード「Z」と上級グレード「Z-L」、そしてトップグレード「Z432」の3つを設定。ZおよびZ-Lのエンジンは、最高出力130ps の2.0L直6 SOHC(L20型)ツインキャブ、Z432には160psを発揮する2.0L直6 DOHCツインキャブ(S20型)を搭載。Zは4速MT、Z-Lには5速MT、Z432にはポルシェタイプのフルシンクロ・マニュアルが組み合わされた。 車両価格は、Zが84万円、Z-Lが105万円、Z432は185万円。当時の大卒初任給は3.4万円程度(現在は約23万円)なので、単純に現在の価値にすると標準グレードZが約570万円、Z-Lが710万円、Z432は1251万円に相当する。 北米向けには排気量を拡大した240Zを設定 大排気量が必要な米国向けには、排気量を2.4Lに拡大したフェアレディ240Zが設定された。搭載されたエンジンは、最高出力150ps/最大トルク21kgmを発揮する2.4L直6 SOHC(L24型)ツインキャブ仕様で、トランスミッションには5速MT に加えて3 速AT も用意された。 外観上の特徴は、Gノーズ(エアロダイナ・ノーズ)といわれたフロントエンドで、FRP製のノーズピース、ヘッドライトカバー、ワイドタイヤを収める前提のオーバーフェンダーを装着。空気抵抗Cd 値は0.39と当時のスポーツカーでもトップクラスで、最高速度は210km/hに達した。米国での価格は3526ドル(ポルシェ911の半額)で、ショールームに長蛇の列ができる爆発的な人気を獲得した。 米国で圧倒的な人気を獲得したことを知った日本のファンの声に応える形で、フェアレディ240Zは1971年11 月に車両価格115万~156.3万円で国内にも投入された。 ・・・・・・・・・ 初めてフェアレディZを見たときに、ジャガーEタイプに似ているなというのが第一印象だった。ジャガーEタイプのようなクルマを作れと指示されたという話がある(ほんとかどうか?)が、影響を受けているのは確かだろう。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純