小渕優子・選対委員長は次の党役員人事で真っ先にクビに…ロクな仕事もできず「自民党のおごりを象徴するような人事だった」
小渕氏は選挙の“現場監督”
自民党の場合、党四役は総務会長、政務調査会長、そして幹事長と選対委員長を指す。幹事長は「最大の仕事は選挙対策」(註)と言われ、選対委員長は文字通り選挙の総指揮を執る。選挙において幹事長と選対委員長の仕事は、どのように線引きされているのか、政治アナリストの伊藤惇夫氏に訊いた。 「自民党の幹事長は、立候補者の公認権を握っているのが最も重要なポイントでしょう。つまり幹事長は『自民党は、こういう顔ぶれで選挙を戦う』というグランドデザインを描くのが任務だと言えます。一方の選対委員長は選挙の実務を担当します。幹事長が選んだ候補者の顔ぶれをもとに、各選挙区の情勢分析を行ったり、選挙が始まったら自身が応援演説に立ったり、応援弁士を手配したりするなどします。まさに選挙における“現場監督”というポジションでしょう」 今年4月に行われた衆院補選は島根1区で敗北し、東京15区と長崎3区は不戦敗。さらに5月の静岡県知事選でも敗れたことは記憶に新しい。 「これほど自民党が選挙で負け続けたというのは、私の記憶を振り返っても思い当たりません。当然ながら党内から敗戦の責任を問う声が噴出しても不思議ではないでしょう。その際は首相の岸田文雄さん(66)、幹事長の茂木さん、そして選対委員長の小渕さんの“連帯責任”が俎上に載せられると思います」(同・伊藤氏)
小渕氏の能力に疑問視
ところが連帯責任ではなく、「小渕氏の責任だ」との指摘が少なくないのだ。例えば昨年の10月、朝日新聞の朝刊に掲載された「小渕氏『選挙の顔』果たせず 世襲批判受け隠密行動 采配に批判も 自民選対委員長『初陣』」との記事だ。 昨年10月22日、衆院長崎4区と参院徳島・高知選挙区の衆参2つの補欠選挙で投開票が行われた。岸田首相は「2戦必勝」を掲げて挑んでいたが、長崎4区では勝利を収めたものの、徳島・高知選挙区では敗北するという「1勝1敗」に終わった。 「朝日新聞は岸田首相が小渕さんを“選挙の顔”とでも言うべき選対委員長に抜擢したのは、元首相の小渕恵三さん(1937~2000)を父に持ち、高い知名度を持っているためと解説しました。つまり応援演説で多数の聴衆を集める“動員力”に期待したというわけです。ところが衆参ダブル補選で小渕氏の知名度は充分に機能しませんでした。さらに参院補選では選対会議を高知だけで開き、移動の負担が大きかった徳島側から不満の声が漏れたことを紹介。《選挙実務者としての資質に疑問符がついた》と厳しい評価を下したのです」(前出の記者)