アルバイト先が交通費を支給してくれません。求人には交通費支給と書いてあったのですが、このケースは詐欺になりますか?
いざ働きはじめてみると、求人内容と違っていたということはないでしょうか。実際にはもっと待遇が良かったというならいいですが、求人に書かれていた手当がなかったり休憩時間があまり取れなかったりするのは困ります。 特に、お金に関する条件は応募の決め手にする人も多いでしょう。今回は、求人内容では「交通費支給」となっていたアルバイト先で、交通費が支給されない場合について解説します。
そもそも交通費を支給しないのは違法になるのか?
じつは、交通費(通勤手当)の支給は使用者の義務ではありません。通勤にともなう交通費を出さなければいけないという法律が存在しないためです。 交通費を支給するかどうかは、使用者が自由に決められることになっています。労働基準法上では、交通費は「賃金」の一部として扱われます。ただし、就業規則で規定している場合は、交通費を払わなければなりません。 説明したように、交通費は賃金の一部とされています。しかし、最低賃金の場合は精皆勤手当や通勤手当、 家族手当を除外するのが一般的です。 これは最低賃金法第4条第3項によるもので、交通費を賃金から除外しなくてよいのは、時給が最低賃金より上回っていることが前提になります。 つまり、就業規則に支給の規定がなく時給が最低賃金を上回っているなら、交通費が出なくても法的に問題はないでしょう。
求人内容と実際の条件に相違があるときは罰則の対象になる
交通費(通勤手当)支給に関する法律は存在しませんが、求人内容との相違があれば罰せられる可能性が高いです。職業安定法第65条では「虚偽の広告をし、または虚偽の条件を提示して、職業紹介を行った者またはこれに従事した者」は罰則の対象になるとしています。 募集をするときは、労働条件の明示(職業安定法第5条の3)を行うだけでなく、的確に表示(職業安定法第42条)しなければなりません。そして、これらに虚偽があった場合の罰則は、職業安定法第65条第8号に定められています。 簡単にいえば、求人に書いていた内容と実際の条件に相違があったときは労基法違反です。もしも、相違に気づいていながら申し立てないときは、合意のもとで契約が成立したと判断されるため注意したほうがよいでしょう。 通常、人を雇い入れるときは「労働条件通知書」の提示が必要です。労働条件通知書には、配属される部署や就業時間、就業場所、賃金など、働くうえで重要な条件を明記しなければなりません。 交通費について求人内容と相違があるなら、労働条件通知書にはどのように書かれているか確認してみましょう。または、就業規則でどのように規定しているか見てみる必要があります。 いずれにしても、求人と違う時点で労基法違反が疑われますから、早めにハローワークまたは管轄の労働基準監督署、総合労働相談コーナーに相談することです。