コーヒー生豆や海上運賃が高騰し円安が追い討ち 厳しい経営環境でキーコーヒーが繰り出す一手
コーヒー会社は厳しい経営環境に置かれている。 コーヒー先物市場の認証在庫数が低水準で推移し、ロブスタ種最大の生産国であるベトナムが天候不順による減産となった。 これに中東の紛争勃発による海上運賃の高騰や為替相場の円安基調が追い討ちをかけコーヒー生豆の調達価格は高値で推移。加えて、資材費の上昇などからコーヒー製造コストは増加の一途を辿る。
キーコーヒーの前期(3月期)業績は、大幅な増収増益を記録したものの、今後もコストアップが続くとの見通しから今期は減益を計画する。 5月22日、決算説明会に臨んだ柴田裕社長は、インフレ経済での舵取りの難しさに触れる。 「前年度、我々もそうだったが増収増益の会社が多かった。経済が回ったということもあるが、やはり皆さん正常なところまで価格を引き上げ、それが浸透したのだと思う。今度は値上がりしたものを調達して事業活動することになり、業績面では少し厳しくなる」との見方を示す。
消費者物価指数が高まり続ける反面、実質賃金が伸び切れず節約志向の一層の高まりが予想される中、キーコーヒーが繰り出す一手は、かねてから取り組んできた共感価値の訴求にある。 「社会環境や生活スタイルが多様化する中で、生活者に向けてコーヒーに関する共感価値の訴求を強化していきたい」と意欲をのぞかせる。 共感価値とは、価格が安ければ購入するといった消費マインドではなく、企業姿勢などの共感できるような価値を見つけて購入する消費マインドに対応したものとなる。 「生活者にその商品の価値を感じていただき、コーヒーや生産者も応援していただくということを含めて共感価値」と説明する。
共感価値を前面に押し出した商品としては、昨年立ち上げた「KEY DOORS+(キードアーズプラス)」シリーズがある。 同シリーズは前身ブランドをリブランディングしたもので、おいしさ・品質に磨きをかけ既存ユーザーをつなぎとめつつ、情緒的な部分や新しいライフスタイル・シーンの中で“自分の近くにいてほしい商品”という共感価値を加えて新規ユーザーとなる20・30代若年層の獲得を図っている。 同シリーズの春夏注力商品は「リキッドコーヒー テトラプリズマ」(リキッドコーヒー)と「香味まろやか水出し珈琲」(水出し珈琲)の2品。