【阪神】首脳陣の評価上々! ドラ1伊原陵人の数字に表れにくい「能力」とは
阪神の新人選手9人は現在、兵庫・西宮市内の鳴尾浜球場で合同自主トレの真っただ中。真冬の寒空の下、金の卵たちはプロとしてのトレーニングを着々と積んでいる。 注目はやはりドラフト1位左腕の伊原陵人投手(24=NTT西日本)だろう。身長170センチとプロとしては小柄な体格。直球の最速も150キロに満たず〝カタログスペック〟的には物足りなさも感じるが、藤川球児監督(44)を筆頭とした虎首脳陣からの評価は早くも上々だ。 アマ時代の映像を既にチェックし、チーム内からのさまざまな報告も受けているという金村投手コーチは「ひと言でいうと『実戦向き』の選手って印象。上背はないけど独特のボールの軌道とコントロールの良さが光るよね。球にも強さがある」と数字には表れにくい左腕の能力を高く評価。藤川監督は先発として起用していく方針を既に明言しているが「俺は先発でも中継ぎでも、両方で使えると思う」と〝使い勝手の良さ〟に目を光らせる。 何度も挫折を味わいながら24歳にしてようやくプロの世界にたどり着いた苦労人だけに、成熟したメンタル面も魅力だ。一軍キャンプスタートに固執せず、シーズン本番を念頭に置いた調整を強調した伊原に対し「素晴らしい。高校、大学、社会人と悩みながら周りのバランスを学んできた選手なので、どうやったら自分の道が開けるか分かっている。いいドラフト1位だと思う」と藤川監督も声を弾ませる。 選ばれた選手のみが立つことを許されるプロ一軍のグラウンドは、最高球速や上背などのカタログスペックだけで勝ち抜けるほど甘くはない。適者生存の世界を生き抜くために必要なのはその人だけの感性と知性。そして正しい方向性へと向けられた努力の質量だ。〝火の玉チルドレン〟の一期筆頭生の実戦デビューが今から待ち遠しい。
東スポWEB