心臓の健康を見守るApple Watchの心房細動履歴、専門医に「正しい使用方法」を聞いた
対して、Apple Watchは本体を充電する間を除き、手首に装着している間、ユーザーの心臓の健康を見守るウェアラブルデバイスです。心房細動の兆候をより正確につかむためには、できる限り長時間に渡って心拍のリズムを測ることが肝要です。「Apple Watchのような使い方ができるヘルスケアデバイスは他に類を見ない」と桑原先生は語ります。 ■生活習慣と心房細動の因果関係を知る手がかりにもなる Apple Watchの心房細動履歴により、心房細動を引き起こす可能性のある因子を推測することができます。 「心房細動の誘因は人それぞれさまざまです。飲酒量、運動量、睡眠時間、体重、精神状態は心房細動を誘発する因子になり得ます。それぞれの因子と心房細動との関連性を、Apple Watchの心房細動履歴を使って明らかにすれば、心房細動の改善に役立つと思われます」と桑原先生は期待を寄せます。
心房細動にはどのような自覚症状があるのでしょうか。桑原先生によると、一般的に多いケースは「動悸」「息切れ」「めまい」であり、脈拍が速くなったり飛んだりすることがあるそうです。 ほかに「頻尿」も心房細動の症状の1つであると桑原先生は指摘しています。心房細動になると、心臓が処理しなければならない血液の量を減らすために、利尿作用のあるホルモンを心臓自身が分泌するので、頻尿になるそうです。 これら心房細動の兆候がありながら、まだ医師による診断が得られていない人は、Apple Watchの「心電図アプリ」から心房細動の兆候を確認することを桑原先生は勧めます。 発作性心房細動の人は、Apple Watchの心房細動履歴の機能により、自身の「心房細動の兆候を示した頻度と時間」を把握することも大切です。症状を正確に把握することによって、医師は薬物療法、またはカテーテルアブレーションといった必要な治療を適切なタイミングで施すことができるからです。 Apple Watchが計測するデータの精度はきわめて高いものの、「完璧ではない」と桑原先生は指摘します。 「心房性期外収縮という不整脈が頻発している時、Apple Watchがこれを心房細動と間違えることもあるようです。正しい治療を選択して病気を治すためにも、やはり医師による診断を受けることがとても重要なのです」
山本敦