相続税対策をするときは専門家に相談を

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「相続税にも基礎控除があり、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で算出された金額までは相続税はかかりません。財産額が基礎控除額以下なら、相続税を納める必要はありません。基礎控除額は法定相続人の数が1人増えるごとに600万円増えるので、相続人が増えると相続税の負担が少なくなります。 それと、相続税は財産額から基礎控除額を差し引いた金額を、法定相続分に従って取得したものと仮定して税率を決定するため、法定相続人の数が増えるほど適用される税率も下がることが多いんです。 明さんの場合も先ほどの概算額のように、2割加算や家庭裁判所へ特別代理人の選任を申立てる必要などはあるものの、相続人が博之さんだけより養子縁組をした方が相続税額は下がります」 「本来、どうすればよかったんでしょうか？」 「生命保険の受取人を博之さんとして、明さんに、遺言書で『全財産を博之さんに相続させる』旨を書いてもらえていたら、遺産分割協議を行う必要がなく、2割加算も発生しなかったんです。蓮さんも特に遺留分の請求をしないという前提ですけど」 「相続税って難しいんですね」 「そうですね。相続税対策をするときには、今後はぜひ事前にご相談ください。あと、未成年者には未成年者控除があります。満18歳になるまでの年数×10万円が控除されるので、現在14歳の蓮さんであれば、税負担が40万円軽くなります」 *　　　　　*　　　　　* 勉強不足を後悔していた博之さんは、相続人が増えたことで税額が下がったこと、未成年者控除によって税負担が多少軽くなることをありがたいと感じながら税理士のもとを後にしました。今後、相続税対策をするときには事前に専門家に相談し、自分でも勉強してからにしよう、と自分の考えの甘さを反省したのでした。 【筆者プロフィール】 古尾谷 裕昭 税理士/ベンチャーサポート相続税理士法人代表税理士 1975年生まれ、東京都浅草出身。2017年にベンチャーサポート相続税理士法人設立。相続専門の司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・土地家屋調査士・不動産会社・保険販売代理店・金融商品仲介業者からなるベンチャーサポートグループの中核を担う「ベンチャーサポート相続税理士法人」を代表税理士として率いている。10万人のチャンネル登録者数のYouTube『相続専門税理士チャンネル』を運営。 著書に『令和6年度版 プロが教える！失敗しない相続・贈与のすべて』 (コスミック出版)などがある。