次世代車「SDV」に照準 電子部品各社が新技術 車内消音やCO₂吸着 無線充電も脚光
電子部品各社が、次世代自動車に照準を合わせた車載向け部品の開発に力を注いでいる。座るだけで車内のノイズをキャンセルしたり、搭乗者が吐く二酸化炭素(CO₂)を吸着したりと、日本政府が重点を置くSDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)も視野に入れた開発戦略を加速している。 【関連写真】開発した10kW非接触電力伝送コイルモジュール 22日から24日までパシフィコ横浜(横浜市西区)で開催された「人とくるまのテクノロジー展2024YOKOHAMA」。車関連の最新技術や製品が一堂にそろうこの展示会に出展した電子部品各社からは、次世代自動車向け新技術が広く紹介された。特に、電気自動車(EV)をはじめ、自動運転時代の新しいモビリティライフの提案などが目立った。 TDKは、開発中の「車内ノイズキャンセリング」を初公開した。ピエゾスピーカー技術により開発した薄型・軽量の「消音ピエゾリスン」を座席シートのヘッドレスト付近に搭載。逆位相の波を再生することで、搭乗者はシートに座るだけで車内ノイズをキャンセルできる。「実用化時期などは未定だが、次世代自動車向けに広く提案する」(同社)。 村田製作所は、開発中の「CO₂吸着フィルム」を初出品した。ハニカム状のフィルターを活用し、EV車内で人の呼気から発生するCO₂を吸着。CO₂濃度を低減し眠気を抑える。エアコン使用で走行距離が短くなるEVは、内気循環の活用でCO₂濃度が高まり、眠気を誘発する恐れがある。その対策として提案する考えで、「直径30センチメートルほどのCO₂吸着フィルターで、4人乗り車で発生する全てのCO₂を吸着できる」(同社)という。 スミダコーポレーションは、「10kW以上の非接触電力伝送が可能なコイルモジュール」を初出品した。EVの無線充電が可能な電磁誘導式コイルモジュールで、サイズは送電側が60×60センチメートル、受電側が42×30センチメートル。数年後の量産開始を目指している。
電波新聞社 報道本部