独身男性でありながら、同性のパートナーと別れても家族をつくる夢を諦めず、ケニアでの代理出産を経て、二人の娘を持った筆者のライフストーリー

ステラとミアは5歳になり、活発で好奇心旺盛な女の子たちに成長した　COURTESY OF JOSEPH TITO

イタリアの大家族の中で育つということは、人生を謳歌する祭りに参加しているようなものだ。【ジョセフ・ティト（カナダ在住のコンテンツクリエーター兼作家）】 【画像】双子のシングルファーザーとしての日々 いつも祖母の料理の香りが漂い、私たちをにぎやかな食卓に誘っていた。 10代になって、この家族の伝統とゲイである自分の関係を考え始めると、私への期待は自分の願望を映したものなのか、単なる伝統の残り火なのか、疑問を抱くようになった。 伝統か心の声か──この葛藤が私のアイデンティティーと父親への旅を決定づけることになった。 37歳の誕生日を前に、私は複雑な状況に置かれていた。 私が育った家族の価値観からすれば、結婚して子供を持つべき年齢だ。 ゲイにとっては大したプレッシャーではないと思われるかもしれないが、私の頭の中では「社会の声」がずっと鳴り響いていた。 中東に住んでいた時期の私は、ネットフリックスなどの大手向けに番組を制作する超売れっ子のプロデューサー兼ディレクターだった。 文字どおりジェット機で世界中を飛び回る生活だった。 以前は想像もできなかった贅沢と冒険。 しかし、一方で欠落もあった。 大勢の人間がいる部屋の中でひどい孤独を感じる自分がいた。 私はイタリア在住のアーティストであるパートナーとこの旅を始めた。 だが、彼は一緒に家庭を築くことに賛成したものの、優先順位のトップは常に芸術だった。 代理母への2度目の胚移植（体外受精させた精子と卵子を子宮内に戻して妊娠を期待する生殖医療）が失敗に終わったとき、私はつらい現実に直面した。 パートナーは父親になる心の準備ができていなかったのだ。 私たちは別々の道を歩むことにした。 【興奮と喜びと重い現実】 代理出産の費用は北米を含め、世界中どこでも恐ろしく高い。 それでも私は、ケニアに希望を託すことにした。 当地のエージェントは、独身男性や同性カップルも歓迎と宣伝していた。 簡単な決断ではなかった。 ケニアには独特の文化と法制度があり、代理出産にはチャンスと課題が混在していた。 私は弁護士に相談した後、勇気を振り絞って最初の費用2万ドルを払い込んだ。 リスクは大きかったが、うまくいくと信じるしかなかった。 最初の4回の胚移植は失敗だったが、それからが私の旅の本当のスタートだった。 そして2018年4月19日。携帯電話が鳴り、メールの着信通知が飛び込んできた。 そこには「検査結果」とあった。