「タケちゃん」に冷静な状況判断求める 野田聖子氏ら 岐阜県知事選の舞台裏
来年1月9日告示、26日投開票の岐阜県知事選を巡り、自民党県連は23日、選挙対策委員会を岐阜市内で開き、元内閣府大臣官房審議官・江崎禎英氏(59)の推薦を決定した。今後、党本部で正式に決定する。参院議員・渡辺猛之氏(56)の出馬断念を受け、保守分裂となった2021年の前回選とは打って変わり、県連が推す候補者の一本化にこぎ着けた。
与野党「相乗り」
この日の選対委は非公開で1時間ほど行われた。終了後、報道陣の取材に応じた県連会長・武藤容治衆院議員(岐阜3区)らによると、出席者がそれぞれ意見を述べた後に採 決をした。江崎氏の推薦に賛成する意見が多数を占めたという。 自民党内では、渡辺氏に代わる候補擁立を模索する動きもあったが、時間的制約もあり、実現しなかった。武藤氏は「合意を得た。まだまだ意見がある人もいると思うが、決めていくところは決めていかないといけない」と“一枚岩”を強調した。 江崎氏に対しては、立憲民主党、国民民主党、両党の支持母体の「連合岐阜」が、それぞれ推薦する方向で調整しており、与野党の「相乗り候補」になる。 江崎氏は読売新聞の取材に対し「光栄なことで、ありがたい。県民のみなさんの声を聞きながら、政策を作っていきたい」と喜んだ。
戦略裏目に
選対委には渡辺氏も出席した。終了後の取材に対しては、「県連の決定には従う」と言葉少なだった。 10月に知事選へ出馬する意向を示したが、今月9日に一転、不出馬を表明した渡辺氏――。決定打となったのは、10月衆院選での自公大敗だった。 知事選出馬への意欲を見せていた当時の渡辺氏は、「30年間、自民党と一緒に歩いてきた」などと1995年の県議初当選からの自民党歴の長さをアピール。「保守王国」と評される県内の厚い自民支持層を固める戦略を思い描いていた。 しかし、県内でも岐阜4区を奪われるなど、衆院選で与党への風当たりの強さがあらわになった。野党の支持も得つつあった江崎氏に対し、自民党色の強い渡辺氏は不利との懸念が生まれた。渡辺氏を支持する県連関係者の間でも、仮に分裂選挙になった場合、「渡辺氏は勝てない」(自民県議)との声が広がっていった。 今月1日には、県連会長の武藤氏、渡辺氏を「タケちゃん」と親しむ野田聖子・衆院議員(岐阜1区)と、東京・永田町の衆院議員会館で鼎談。両氏から「冷静に状況を見て判断してほしい」と求められ、渡辺氏の「出馬する決意」がさらに大きく揺れ、不出馬に傾いた。